人間牧場

○千本桜の森づくり事業に思う(その2)

 昭和56年に仲間12名とともに結成した21世紀えひめニューフロンティアグループは、これまで空から故郷を見る運動を皮切りに、無人島に挑む少年のつどいや竪穴式住居語り部の集い、丸木舟瀬戸内海航海、ブーメランテーブル製作、10年で40回のフロンティア塾など、①今やれる青春、②一年一事業、③社会への揺さぶりをテーマに、主に青少年の健全育成と自らのスキルアップを目指して活動してきました。しかし主要メンバーの高齢化はいかんともし難く、数年前から青少年の健全育成から地域づくりとメンバーのスキルアップに軸足を置き換え、スキルアップは国内世界遺産を巡る旅を計画し、これまでに広島原爆ドーム、安芸の宮島厳島神社、石見銀山、姫路城、熊野古道、京都・奈良の神社仏閣、そして白川郷合掌造りと旅を続けてきました。来年は九州の屋久島への旅が計画され、それなりにスキルアップが図られていることは喜ばしい限りです。

愛媛新聞朝刊

 さてフロンティアグループにとって地域づくりとは何か?、色々考えた結果田畑や里山の荒廃を見て、千本桜の森づくりという事業を思いつきました。一ヶ所100本の桜を東・中・南予十ヵ所選んで植えようとするものです。新聞で募集をしたところ、愛南町柏地区、国立大洲青少年交流の家、伊予市佐礼谷地区、伊予市双海地区、今治市菊間地区などがそれぞれ名乗りを上げてくれ、既にこの2年間で700本を越える桜の苗木が愛媛の地に植栽されたのです。嬉しいことに苗木をプレゼントした地域ではどこも喜ばれ、佐礼谷地区は2年間、菊間も2年間継続事業となって、大いに気を吐いているのです。
 植栽の話や計画が持ち上がる度に、私と大野事務局長が現地に飛んで打ち合わせを行い、苗木の手配は今治の河上さん、標柱ポールは日浅さんが製作し文字記入は佐賀山さんがそれぞれ担当し、地域づくりにいささかなりとも役立っているのです。

 私たちのグループには、関奉仕財団というパトロンがついていて、毎年財政的援助をいただいていますが、昨年はえひめ地域政策研究センターの助成金もいただき、小さな集団ながら千本桜の森づくり事業は順調に推移しているようです。
 千本桜の森づくり事業に呼応してもらった団体が植栽を行なう場内私たちのメンバーの誰かが立ち会うようにしていますが、これまで私が出かけた伊予市佐礼谷や今治市菊間町松尾の取り組みはどこも熱心で、しかも参加した人たちは若い頃に青年団活動などに参加して、ボランティア精神がしっかりと根付いている人たちばかりであることを、ある意味嬉しく思いました。

 先日友人で先輩の玉井恭介さんが自分のブログ「考える村」に次のような言葉を書いていました。1200年前のガンダーラの遺跡に彫られた言葉に、「少年時代は礼節を学び、青年時代は感情をコントロールすることを学び、中年時代は正義を学び、老年時代は弱い人間に援助することを学ぶ、そして悔いなく死ぬ」とあるそうです。私と同じように佐礼谷の人も松尾の人も、この言葉と同じような学びをしていると実感したのです。そして悔いなく死ぬ前に弱い人間に援助しなければ生きている意味がないとも思いました。高齢化時代を向かえていますが、残念ながら現代の高齢者の殆んどはこうした学びをしていないため、孤独になったり社会から疎んじられて寂しく生きているのです。いい高齢者にならなければ・・・・。

  「少・青や 中・老それぞれ 学ばねば 老を楽しく 生きられぬかも」

  「これからは 悔いなく死ぬる 気概持ち 人に援助の 手心加え」

  「穏やかな 春の日差しを 受け植える 桜の若木 今に花見が」

  「ああ今日も いいことしたと それなりに 満足しつつ 友と語らう」 

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