人間牧場

○送られてきた月刊ガバナンス

 2~3日前、月刊ガバナンスという一冊の本が送られてきました。現役の頃は仕事に役立たせようと、こうした類の月刊誌を何冊か定期購読して、情報入手の手段にしていました。決して高くもない役場職員の給料の中から、毎月決まったように出てゆく本代は、財布を預かる妻にしてみればもどかしい気もしたでしょうが、妻も私の向学心を理解してくれ、本代が高いとか付き合い酒を止めろなどとは一度も言いませんでした。私もそのことを承知して、極力小遣いを使わないよう気を使ったつもりでした。
 月刊ガバナンスはぎょうせいという出版会社が作っている雑誌ですが、同じような第一法規という出版会社があります。いずれも法規や法令集、条例などの加除が主な仕事で、官公庁向けの出版も手掛けているのです。

 先日松山市内を歩いていたら、私が現職のころ本を売りに役場にちょくちょく顔を覗かせていた、第一法規の人にばったり出会いました。立ち話で余り長い話はしませんでしたが、最近は市町村の役所に行っても、本を買ってくれるような人は殆んどいないそうです。インターネットが普及して本の役割が終ったのか、役所の人が勉強しなくなったのか分かりませんが、確実にそういった人にめぐり合わなくなったと嘆いていました。役所の人に言わせると今は給料氷河期で、毎年のように給料が下がって、人事院勧告などあってもないようだそうです。確かにこう世の中が不景気だと税金で賄う公務員の給料は、世間から比べると安くなったといいながら、ノルマがある訳でもないし、余程悪いことをしなければ止めさせられることもないのですから天国かも知れません。ゆえに公務員志望は相変わらず多いのです。しかし給料が安くなったから勉強をしないというのは筋違いで、論外もはなはだしいのです。自分の能力を進化させてゆくためには、それ相応の投資が必要で、投資なくして効果はあり得ないのです。

 さて私に、何故月刊ガバナンスという雑誌が送られてきたのか、意味不明のまま封筒を開けると、編集局記者の名前で献本文書が入っていました。少しの時間を割いて目を通しましたが、P106を開いてやっと献本の意味が分かりました。「もっと自治能力を」「広がる自主研修・ネットワーク、「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合」「公務員よ!・飛び出せ!、やり出せ!、頭出せ!」とまあ過激な中見出しが沢山目に止まりました。「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合(代表=古川康佐賀県知事)の初サミットが1月28日、松山市内で開催された。職員と首長が思いを率直に語り合う首長&職員飛び出す甲子園なども実施。首長連合の支援を得て、今後、さらなる地域に飛び出す公務員の活躍が期待される」とリード文は続いていました。
 元祖!飛び出す公務員の自負を持つ私も、この集会にゲストコメンテーターとして招かれたことが、「人間牧場主若林進一さん(元愛媛県双海町職員」と、誤字でほんの数行紹介されていました。若松が若林になっていたことくらいで目くじらを立てることはありませんが、献本していただいた記者に感謝しながら、折に触れて中身を熟読させていただきました。

送られてきた月間ガバナンス

 その中に「人は紙なしでは生きられない」という新しいフレーズを見つけました。確かに活字を印刷した紙類は少なくなりましたが、トイレだっていくらウォッシュレットになっても紙なしでは用も足せないのです。リサイクルや植林等紙を巡る社会も随分様変わりしてきました。一方ではこうして送られてきた一冊の月間ガバナンスという本でさえ、多分今年の内には紙ごみとして捨てられる運命にあるのです。
 紙は私たちに多くの恩恵をもたらしました。ペーパーレス化がいくら進んでも紙の要らない社会はないのです。今一度そんなことを考えながら、紙から得るであろう情報を大事にして生きて行こうと思いました。

 

  「献本と 書かれた雑誌 若林? 俺はいつから こんな名前に?」

  「献本の 意味も分からず 封を切る 中身は濃くて 一瞬昔」

  「売れないと 嘆くセールス 久しぶり 原因PC いやいや勉強」

  「この本も 今年中には 紙ごみに 紙を大事に 言いつつ処分」 

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