○在宅介護支援センターの出前講座
昨年の12月5日、奥道後の入り口付近にある愛媛県在宅介護支援センターの招きで講演に出かけました。松山から奥道後を経て水ヶ峠を越え、今治に向かうこの道は短時間で今治へ出かけられるので、曲がりくねった道ながら私は時々走るのですが、その折国道に立っている「愛媛在宅介護支援センター」という看板を横目に見ながら走っていましたが、まさかそこへ講演で出かけることなど夢にも思っていませんでした。講演が終え帰ってから間もなくセンターの室長さんから、「西予市と内子町へ出前講座に行って欲しい」とご依頼がありました。「中身は12月5日に聞いた話がとても良かったので」とおだてられたものですから、調子に乗って出かけることにしました。
西予市は3月6日ボランテァ協会の会員さん相手で、西予市文化会館中ホールで百人を越える大勢の人の集まりでした。西予市にはこのところ地域づくりグランプリの審査や全国過疎問題シンポジウム、物づくり文明機構シンポジウムなど、片手の指に余って出かけていて知り人も多く、中には私が講演に来るからとわざわざ駆けつけてくれる熱心な知人友人もいて、嬉しい出会いを重ねました。
この日は天気も良かったので少し早めに出かけて伝建地区の町並みを見学してから会場入りしました。偶然にも入り口付近で、卯のほたる実行委員長の藤本明美さんに出会いました。藤本さんは軽い脳梗塞で体調を崩しているらしことを風の便りで聞いて心配していましたが、元気な姿での久方の出会いを嬉しく思いました。講演を終わって帰宅後日、藤本明美さんや何人かの参加者から嬉しいお便りをいただき、恐縮してしまいました。
内子町は介護老人保健施設「アンビションうちこ園」という施設でした。JR内子駅の裏手高台にある施設で、インターネットで調べた地図に沿って坂を登って行きました。施設内に入ると看護師長の柏木公子さんが、自分の部屋へ案内してくれました。聞けば20年以上も前、八幡浜市千丈小学校へ私が講演に出かけた折、私の話を聞いて大いに勇気付けられたというのです。柏木さんのことはよく覚えていませんが、千丈小学校へ講演に行ったことは今もはっきり覚えていて、縁の不思議を感じました。
この日はうちこ園を利用しているお年寄りの家族会研修の日で、30人ほどの人が集まっていました。同じ出前講座でも相手や人数が違うし目的もまちまちなので、多少戸惑うこともありますが、何とか役目を果たすことができました。
私に講演の依頼をする人たちの多くは、まず「お金がないので」と前置きをします。事実私の講演相手先は社会教育や福祉、それに地域づくりなどが多いのですが、それらの分野はこの20年間、相も変わらず予算の増えない活動を強いられています。「お金がないので」を前置きされると、「お金があったら私以外の人に頼むの?」と言いたくなりますが、そのことを理由に断わる訳には行かず、「はいそちらの都合で結構です」と快く受諾するのです。まあ年金で何のとか暮らして行けるので、むしろ私はお金の多少よりも、講演の充実感ややる気の方を大切にするのです。出前講座は現場のそうした懐事情を解決する方法のようでしたが、2会場とも熱心な主催者や参加者に助けられいい研修会となりました。
「金がない まず言う言葉 名セリフ 断わる訳に 行かず快諾」
「出前だと 少々冷めたり のびたとて 文句は出ない そんな気持ちで」
「二十年 前にあなたの 話聞く 言われて記憶 辿りたどりて」
「会場に 知人友人 来てくれて いつも変わらぬ 話に花を」