○北海道旅日記(その6)
温根湯の大江本家というホテルで北海道3日目の朝を迎えました。遠く離れた四国愛媛県ではこの日、菜の花まつりが開かれる予定でしたが、雨で出鼻をくじかれそうだと妻から電話があったものの、北海道はとてもいい天気で、朝の気温が氷点下15度でした。北海道は夜がふけるのが早い分、夜が明けるのがとても早く、折角の温泉地なのでホテルの大浴場で朝湯を存分に楽しみ、また朝食もバイキング方式だったため、北の大地の贈り物である冷たくて濃い牛乳を風呂上りに鱈腹いただきました。
この日は移動日とあって別に用事もないので、井田さんご夫妻が私の案内役を買って出てくれました。まず温根湯温泉近くの道の駅に向かい、日本一大きいからくり鳩時計を見学することにしましたが、残念ながら真冬で寒いため、春までお休みで少しがっかりしました。海にも川にも余りご縁がない平地の場所ながら道の駅の横には水族館もあるようでしたが、これも改修工事のためお休みでした。
私たちは温根湯から氷結した佐呂間湖を見るため佐呂間町へ入りました。井田さんたちが日ごろ生産活動をしている港も全て氷結していました。何年か前来た時見た筏の作業小屋は全てなくなり、内港がすっかり様変わりしていました。筏小屋は近代的な共同作業施設となっていましたが、この時期は作業は行なわれていないのです。
かつて訪ね泊まったことのあるホテル、馬牧場のすぐ傍にある道の駅で流氷ソフトクリームを食べ、道の駅の駅長さんや店員と色々な雑談をしました。井田貴子さんの今回の研究テーマも、駅長さんは好意的に協力してくれているようで、早速貴子さんは打ち合わせをしていました。
佐呂間湖が一望できる近くの展望台に上がりましたが、一面真っ白い雪原がどこまでも広がる姿は、かつて秋の頃の佐呂間湖を見ているだけにとても印象的でした。
貴子さんのご主人である井田勝人さんは佐呂間漁協の理事さんです。佐呂間湖は三つの町にまたがった、周囲100キロの全国で3番目に大きな湖です。沖合いには砂州が取り囲むようにあり、二ヵ所で海とつながっている汽水湖なのです。湖はホタテの養殖に適していて大きな恵をもたらせているのです。勝人さんの案内で一般人は通れない砂州に通じる雪道を水門まで通らせてもらいました。なだらかに続く道を進むと、さっきまで陸地部から見えていた佐呂間湖が、沖合いから見えました。水門には大量の土砂が流れ込んで、それを取り除く工事や橋げたを高くする工事が行われていました。水門の向うにはオホーツクの海が開け、流氷が海岸近くまで迫っていましたが、残念ながら流氷の上に上がることはできませんでした。
アッケシソウで有名なのとり湖や網走湖などの周辺を走って網走市内に入りました。天都山という小高い丘の上に登り、網走刑務所、網走市外、流氷に埋まったオホーツク海やはるか彼方に知床半島を望む眺望を楽しみました。そしてその近くの感動の坂道を登ると、貴子さんが通っている東京農大網走分校のキャンパスがあり、車の中からでしたが見学させてもらいました。
「今日だった 菜の花祭り 思い出し 天気どうかと 携帯入れる」
「氷結の 厚さ聞いたら 一メーター 桁が違うと 感心しつつ」
「ほらあそこ 網走刑務所 へえそうか 行って見たいが 行くべきでなし」
「湖も 畑も区別 できぬまま 眼下見下ろす 北国の冬」