○カブトムシの幼虫
今年の梅雨は結構メリハリがあって、降る時と降らない時がしっかり区別されているようで、晴れと雨が交互にやって来て随分助かります。でもこれから梅雨の終わりごろになると雨の量も次第に多くなるので気をつけなければなりません。雨といえば二つのことを思い出します。ひとつは大雨による裏山の崩壊です。急峻な地形のわが町では雨が降る度に各地で土砂崩れが起こりますが、わが家でも例外ではなく覚えているだけでも3度も土砂崩れに見舞われ、5年前にはあやうく家が土砂に埋まりそうになりました。そしてその片付け最中にチェンソーで足を切り救急車の搬送を得て入院手術、車椅子の暮しを余儀なくされたのです。幸い大事だったのに大事に至らずどうにか回復しましたが、今でも時々右足の古傷を見る度に、当時のいまわしい大雨を思い出すのです。
もうひとつは高知県の雨粒の大きさです。隣県ということもあって、高知県の殆ど全ての市町村へ講演などでお邪魔していますが、その度に雨の洗礼を受けています。高知県には四万十川や安田川、仁淀川など全国にその名を知らしめている名だたる川がありますが、何度大雨に出会ったことでしょう。特に旧西土佐村と馬路村での雨との出会いは忘れられない思い出です。
昨日は昼から孫朋樹がわが家に遊びに来ました。松前町での講演の後迎えに行ったのですが、最近は私の仕事が忙しく、中々出会わなかったのです。昨日は土曜日と重なってお休みだったのでお目当てのカブトムシの話で盛り上がりました。
かなり激しい雨の中、田舎のオープンカーに乗って人間牧場へ行きました。朋樹のリクエストによるものです。というのも人間牧場赤とんぼの館の倉庫には、県庁職員からいただいたカブトムシの幼虫が、ポリバケツに入れられ養殖されているのです。孫はそのことがいつも気になっているらしく、電話の度に「カブトムシの幼虫はどうなっているの?」と訪ねるのです。晩秋に貰ってからもう半年が過ぎました。人間牧場へ行く度に蓋を開け中を観察するのですが気まぐれな幼虫はずっと腐葉土の中に潜んでいて、中々ご尊顔を拝せないのです。それでも時々幼虫が1~2匹表面に出ているのも見ることがあって、おおよその状況は逐一電話の向こうの孫に報告していたのです。
昼なお暗い大雨の中を人間牧場に着いた私たちはポリバケツの蓋を開けて驚きました。17匹もの白い幼虫が表面に出ているのです。朋樹は「わあ~凄い」と思わず歓声を上げました。
幼虫は間もなく成虫になるのでしょうか、以前より茶褐色を帯びてきたように見えるのです。「おじいちゃん、ウインナーみたいだね」と上手く表現した孫は、早速持ってきた虫篭にこの幼虫の一匹を入れて持ち帰りたいと注文しました。本当は触ってはいけないのでしょうが初めてのことなので、腐葉土を少し虫篭に移し、幼虫を一匹入れました。そしてその上からまるで布団でくるむようそっと腐葉土を掛け手やりました。雨が次第に激しくなってきたので早々に下山する事にしましたが、4WDの田舎のオープンカーに同乗した孫は大事そうに自分の膝の上に置いたままでした。途中西嶋さんの家でラッキョウを加工しているところに出会い美味しいビワをいただきました。またカブトムシの幼虫を自慢したくて妹のお店「くじら」にも立ち寄り、朋樹は知ったかぶりのカブトムシ談義を得意げに話していました。
昨晩は私と一緒に寝ましたが、カブトムシの幼虫で興奮したのか、風呂にも入らず夕食が終わるとテレビの前で寝込んでしまいました。9時ごろ起して風呂に入れましたが、おとボケて泣きました。それでもカブトムシの幼虫と寝るのだといって、枕元へ虫篭を運んでやると嬉しそうに夢の中へ旅立ちました。
間もなく暑い夏がやって来ます。電話の度に「カブトムシの幼虫はどうなってる?」と問いかけてくるでしょう。今年はスーパーでカブトムシを買わなくても済みそうです。男の子の虫に対する憧れはいつの時代も変わらないロマンのようです。
「わあ~凄い 思わず歓声 ウインナー 上手い表現 孫は夢虫に」
「枕元 虫篭置いて スヤスヤと どんな楽しい 夢を見てるか」
「幼虫が 成虫になる 日も近し 少し黒ずむ 命の不思議」
「雨などは カブトの幼虫 比べたら 目じゃないように ずぶ濡れなりつつ」