○豊作かジャガイモとタマネギ
わが家の菜園にも夏がやって来て、春先に植えた夏野菜の収穫が早くも始まり、毎朝起きると家の横にある菜園に行って野菜を朝採りするのが楽しみになってきました。といえばいかにも自分が小まめに育てたような顔をしていますが、野菜の世話はもっぱら90歳になる親父の世話に追う所が多く、私は朝採りならぬ横取りてな感じで、少々心がいたものです。でもそこは親子ですし、親父も毎日キューリやトマトを食べれる訳ではないので、時には近所の非農家へおすそ分けしているのです。
それにしても親父は偉いもので、元漁師ながら野菜を作るのが上手く、几帳面な正確から畑はいつ見ても草の生えない、しかもまるで絵になる幾何学的な垣が畑のいたる所で見かけられるのです。わが家に来たお客さんは、私設公民館煙会所や海の資料館海舟館、それによく打ち合わせ場所に使う東屋を見学したついでに菜園を見て、時には野菜を土産に持ち帰るのですが、一応に美辞麗句を並べて菜園の立派さを褒めてくれるのです。
一週間前からピーマンとキューリが出来始めました。多分夏の暑さでキューリのツルが駄目になる8月までの2ヶ月間、キューリは買わずに済むし、ピーマンにいたっては肥培管理さえすれば秋までその収穫を楽しむことが出来るのですから大助かりです。ただし消毒を極力避けているため、これから梅雨の時期に病気が発生するとアウトになるので要注意です。
梅雨に入って雨が長引くようになってきました。親父の心配はジャガイモとタマネギの収穫をいつにするかという算段です。ジャガイモもタマネギも4~5日の晴れの日を選ばなければなりません。というのも濡れたままで収穫するとその後の日持ちがしにくいのです。
ジャガイモもタマネギも地上部の茎は食べずに捨ててしまいます。つまり土中のものを収穫するのです。タマネギは浅植えでどれくらい太っているか一目瞭然で分りますが豊作のようです。ジャガイモは上の茎がかなり青々茂り、その茎が黄色くなり始めたので掘る適期を迎えているようですが、土中の出来は肉眼では見れないため知る由もありません。でも数日前ためしに掘ってみましたがかなり豊作のようです。
それにしてもジャガイモに比べるとタマネギは何と長い間畑に居座ることでしょう。タマネギの苗を買って植えたのは確か11月の10日前後でした。あれから8ヶ月間も畑でじっと耐えているのですから、他の野菜に比べるとものの比ではありません。ジャガイモの植え付けは3月に入ってからですから僅か3ヶ月余りで収穫できるのです。だのにタマネギは最盛期の今頃は千円も出すと大きな袋いっぱいも買えるほど何故安いのか、農家の苦悩が見えてくるようです。
親父は今年、近所の人に教えられてタマネギには何ら支障のない除草剤を植えて間もなくタマネギの畑に振り撒いたそうです。こんなものが効くのか半信半疑でしたが、なんとこれが効いたのでしょうか、毎年悩まされ続けていたタマネギ畑の草引きを一度もすることなく、今迄で一番の出来だと自慢するほど成長しているのです。
梅雨の晴れ間を見ていよいよ収穫です。最近野菜の収穫が楽しみになった私も、老いた親父とともに働きます。一年分の食糧品ですから。
「見た目には 豊作予感 タマネギが 早く抜いてと ささやくように」
「タマネギと ジャガイモコラボ コロッケに 想像口に よだれ出てくる」
「八ヶ月 居座り続ける タマネギも いよいよ抜かれ 軒に吊るされ」
「俺などは 美味しとこだけ つまみ食い 作ったような 顔して配る」