○なるほどなるほど
四文字熟語には日本の長い歴史が生んだ深い意味があります。平家物語に出てくる「諸行無常の響きあり」なんて言葉は仏教の根本思想で万物は常に変化して少しの間もとどまらないという意味なのですが、住友生命が今年の世相を反映した「創作四文字熟語」を募集しその優秀作と入選作を発表しました。「諸行無常」を創作した「虚業無常」は、時代の波に乗ったライブドアの堀江貴文社長の逮捕で一転し上場廃止になったニュースを皮肉っています。盛んに持てはやされ、「金で解決できないことはない」と豪語してプロ野球やテレビ会社の買収に乗り出して世間を騒がせた末の結末を見事に表現しています。
甲子園大会で苫小牧を破って優勝した早稲田実業学校高等部の斉藤祐樹投手の青いハンカチブームも「全国制覇」の制を青ともじって「全国青覇」に表現しています。それにしても青いハンカチに若い高校生が群がるのは分りますが、中年のおばさんがキャーキャーいいながらおっかけをする姿は何とも見苦しく、韓流ブームの再来ではないかといわれました。
経済に関することではいざなぎ超えといわれる景気回復も庶民の暮らしには一向に実感がわかないようで、「神武景気」を「感無景気」と読み替えれば、なるほどと理解できるようです。それにしても田舎の景気は一向に上向いてくれません。建設業などは各地で倒産が相次ぎ、双海町だけでもこの数年で5本の指くらいの建設業者が倒産しているのです。かつては建設業者の社長さんは33ナンバーの車に乗って、週末にはゴルフ三昧をしていた姿が印象的に目に焼きついています。公務員の給料は社会のバロメーターとして人事院勧告などで保障されてきましたが、今は逆に公務員の給料が民間の給料を上回っているとかで、公務員の給料はどんどん下がっています。それでも民間の一部の人々の懐は豊かもしれませんが、ボーナスも出ず正月を迎える人々のことを思うとまだましのようです。
「注意一秒怪我一生」なんて交通標語がありますが、その言葉の持つ意味は今も昔も変わりはありません。今年は道路交通法が改正され、短時間でも駐車違反となるため「駐違一秒」と上手く表現されています。ちなみに相次いで起こった飲酒運転による重大事故も大きな社会問題となって、「因果応報」を「飲果応報」とした知恵も評価されるようです。先日全国一斉に飲酒運転の取締りが行われました。性懲りもなく愛媛県でも10件を越える検挙者や逮捕者がでたようです。年末年始も近づきましたが、飲酒運転による悲しい事故のないようにしたいものです。
この他にも姉歯建築士が発端となったマンション建設に絡む、耐震偽装事件の被害者住民の怒り心情を表現した「十人十色」「住人十色」、上流社会と下流社会差がどんどん広がってゆく格差社会の「上下左右」「上下差憂」、阿部首相のスローガン「美しい国」にちなんだ「美辞麗句」「美治麗国」、思いっきり体をそらすイナバウアーの「大盤振舞」「銀盤反舞」、小泉首相が人気を終えて退陣した「獅子奮迅」「獅子退陣」などなるほどといえる世間を騒がせたニュースが四文字熟語として紹介されています。
言葉は世の中を映す鏡かもしれません。来年こそはいい言葉を期待したいものです。
「なるほどと うなずく言葉 その裏に 社会のうねり 思い起こして」
「年賀状 十大ニュースを 書いてみた 田舎の俺にも こんな出来事」
「一年が あっという間に 過ぎてゆく 四文字熟語 何時の出来事?」
「歳暮れて 歳暮に届く 牡蠣パック 風評被害 わが家も話題」