shin-1さんの日記

○寒くても花は咲く

 「寒いねえ」。朝晩のあいさつはこんな言葉で始まる昨今ですが、冬の寒さの中でも花をつけて咲こうとする植物があるから不思議なものです。正月の床飾りのため人間牧場へ切花を取りに息子と出かけました。あれほど雑草に覆われていた人間牧場界隈も11月の草刈から2ヶ月が経つというのにあの頃と同じで、草丈も低く風になびいていました。正月前のお墓参りのため親父から頼まれたシキビを一束切り、梅林に行きました。今年60キロも収穫した梅の木は葉は落ちていますが変わって梅の蕾が沢山ついていました。「桜切る馬鹿梅切らん馬鹿」という言葉があるので思い切って大きな二枝を生花用に鎌で切り落としました。枝振りの見事さを思うと、さぞや床の間に似合うだろうと想像しました。妻はお花の免許を持っている近所の友人に毎月一回お花の活け方を習っています。故に自己流ながら毎年正月には立派な生け花が誕生するのです。

 人間牧場の直ぐ側のわが家の畑には自生の水仙が沢山葉っぱを出しています。青々とした葉っぱの中から何輪か花の蕾を持った水仙が冬風に揺れながら寒そうに立っています。ここら辺では水仙の花を何処でも自由に取ることができるので、中には商売人までが正月前の高値の時期に取りに来るので、あたり一面に取ったけれど売り物にならない花が散乱していましたが、私が毎年取るとっておきの場所はさすがに手も入らず、軸の短い水仙を30本余り収穫しました。また林の中に行くと小鳥が仲立ちして繁殖したであろう南天が真赤な実を付けていましたのでそれも3本切り、後は若松に新芽をわが家の裏山から調達すれば全て自家製の金をかけない正月飾りが出来上がるのです。

 「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ、いつか大きな花が咲く」という言葉を思い出しました。梅も水仙も南天も全て寒い日までに花を咲かせる準備を人知れずしていたのでしょう。そう思うと梅の花も水仙の花も南天の真赤な実もいとおしい感じがしました。さて何も咲かないこの冬休みを私はどんな根を下へ下へ伸ばしたのでしょう。日ごろの節制が足らず腰を痛め、喉まで痛めるというアクシデントに見舞われ、根を伸ばす余裕などまったくありませんでした。お陰で養生の日々を少しだけ本を読むことに専念できたのは救いですが、まだまだ修行が足りません。

 残り少なくなった日捲りカレンダーの片隅に「万策尽きたとき、諦めないという妙案がある」という言葉を見つけました。そういえばかつての夕日によるまちづくりも万策尽きた時が何度もありましたが、あきらめないという妙案で乗り切りました。その時は諦めないなんて妙案とも思いませんでしたが、今にして思えば妙案中の妙案だと思うのです。

 寒い日は暖かい場所に居がちです。20度を超えるストーブを焚いた居間で過ごしていると、廊下の戸を開けただけでスーと冷機が入って、早く戸を閉めて欲しいと思います。ところが寒くても戸外でいると寒いから体を動かすようになり、体内からエネルギーが生まれポカポカしてくるのです。部屋の中で鼻が出て仕方がないのに外で働くと意外と鼻は止まったりするのですから不思議です。

 子育ても温かい場所だとモヤシのような子どもが育ち、少し寒い場所で育てた方がいいのかも知れないと冬休みでわが家に来ている孫を連れ出して裏山に散歩に行きました。木切れを拾ってチャンバラごっこをしたのですが、孫は夢中になって楽しく遊びました。さっきまでストーブの前で寒い寒いと連発していた孫とはまるで別人のようです。「おじいちゃん。また明日チャンバラしよう」とねだる有様です。テレビも本もいいけれど、自然に触れたり創作の遊びをさせることは親の責任かもしれません。

  「色白の 孫の姿は もやしっ子 雑草みたいな 元気が欲しい」

  「寒くても 戸外チャンバラ 面白い 明日もしようと 孫にねだられ」

  「華やお茶 金をかけずも 楽しめる 梅に水仙 南天若松」

  「ああ今日も 腰の痛さに 悩まされ 整体通う 明日こそ直れ」 

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shin-1さんの日記

○北西の季節風が吹く頃

 「正月が近いと言うのに暖かいねえ」と、朝夕のあいさつで交わしていた天気が一昨日から一変し、四国沖を通過した低気圧が関東を通って北海度沖で猛烈に発達し、東日本では季節外れの洋風を伴った大雨となったようです。台風や大雨は四国や九州の出来事と思っていたのに、最近では東日本がこうした被害に見舞われているのもやはり温暖化という天候異変なのでしょうか。

 それにしても昨日今日の北西の季節風はかなりのもので、瀬戸内海といえど北西に面した伊予灘が広がっている双海町の海はこの冬一番のような大時化で、「もがる」という言葉がぴったりするような大波が押し寄せています。当然海岸国道378号線は越波高潮現象で、大きな波が国道を走る車の上からまるでシャワーのように容赦なく降りかかるのです。町内にある豊田漁港と上灘漁港ももう年内は漁に出れないでしょうが、正月前の稼ぎを当てにしていた漁師さんにとってみれば当てが外れたようで、少し湿ったお正月になりそうです。双海町特有の黄色い船は全てロープできつく係留され深い眠りにつくのです。船の舳先には風波を避けてカモメが数十羽、まるでカモメの水兵さんの歌のようにお行儀よく並んで休んでいました。昨晩見たテレビ画面の天気図だと、等圧線の立て込みが尋常ではなく、2~3日は吹くことでしょうから、寒空での正月準備になるかも知れません。幸いなことにこの季節風で先日干した切干大根が一日で乾き、後は穏やかな日和の仕上げを待つのみとなりました。

 昨日で官公庁も御用納めとか、今日からはお休みが続きます。私の冬休みは2~3日前から痛めた腰の具合が思わしくなく、この3日間隣町の整体医院に通って治療を受けていますが、回復の兆しが見えたようで少し安心していますが、体が悪くなってしみじみ思うのは健康の有難さでしょう。ズボンをはくことも車を運転することもままならない腰痛にはほとほと参りました。それでも年賀状を仕上げ、後の大仕事は大掃除としめ縄作りです。幸い長男と次男の息子が手伝うと言ってくれていますが、大掃除は采配すれば出来てもしめ飾りは私でないと作れないので、今日は捻り鉢巻で頑張ろうと思っています。


 昨日はまだ仕事が続く娘のために孫を幼稚園へお向かいに行きました。孫の通う幼稚園はもう冬休みに入っていますが、娘のような働く女性のために子どもを預かり保育をしてくれるのです。それでもいつもは蜂の巣を突付いたような幼稚園も散閑としていていて、年齢を問わず居残り保育室の一室に集められていました。親を求める寂しさでしょうか、窓の外を眺めながら親を待つ子どもの姿も見られ、迎えに行くと一斉に子どもの視線が迎え人に向くのも何かしら侘しいものです。孫は朝母親からおじいちゃんが迎えに行くからと言い含められているので、馴れた手つき顔つきで私に愛嬌を振りまきます。孫にとっても今日から冬休みなので安心したのか「今日から冬休み」とはしゃいでいました。娘は二人目の妊娠で正月恒例の夫の家への帰省を諦め、今年はわが家での越年正月となり、夫と別々のさみしい正月となりそうです。今年の正月は例年になく賑やかな正月になりそうですが、妻は今から嬉しいため息のようです。

  「北西の 季節の風が 吹き荒れて 切干大根 寒そ縮まり」

  「船舳先 白いカモメの 羽休め 餌も食わずに 日がな一日」

  「腰痛で じっと我慢の 暖守り 雨戸を叩く 風ぞうらめし」

  「恐竜を 中立ち遊ぶ 孫と俺 何時しか童心 我に帰りて」  

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