shin-1さんの日記

○しまなみ海道ニューツーリズム現地調査②

 青いレモンの島とでべそおばちゃんの店

 もう20年も前に岩城島に来た時は、愛媛県が推進していたリゾート開発の先進地としてこの島は脚光を浴びていました。白亜のリゾートホテルが立ち、瀬戸内海が日本のエーゲ海などと賞賛され、近い将来はスローライフな時代がやって来ると誰もが見果てぬ夢を見ていたのです。その後バブルは崩壊し、リゾート構想は夢と消えてしまいました。その後しまなみ海道が開通したもののブームは僅か一年で消え、架橋地点から離れた地域は取り残された感じさえ持っていましたが、開通10周年を総括すれば期待したほどの架橋効果はなく、むしろデメリットが目につくのです。

 そんな中で多島美や地域資源を生かしたツーリズムは少しずつながら芽生えと成長を遂げているようです。岩城村で「でべそおばちゃんの店」にお邪魔しました。特産品であるレモンを使ったメニューを考え、愛媛版特区といえる規制緩和措置の許可を受けて、自宅のキッチンを使った料理を提供してかなり高い評価を受けているのです。

若松進一ブログ
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 顔見知りである店主の西村さんから色々なお話をお伺いしましたが、ご馳走になったレモンの花弁を浮かしたレモンティといいデザートのゼリーといい、お洒落な雰囲気を見事に演出していて、都会の人たちを迎えるに必要な清潔感や癒しの心を心得ておられ頼もしく思いました。西村さんの話によると来店者も右肩上がりで、近い将来は民宿もやりたいと抱負を述べておられました。

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(レモンティに添えられたレモンのつぼみをお茶の中に入れると、1~2分で花弁が開くのには驚かされました)

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 西村さんに出会って思うのは、こうした取り組みは地域ぐるみの支援が必要であるということです。料理を提供する仲間とのチームワークも大事だし、案内していただいた島本さんはじめ行政の支援もしっかりとしていました。また港からお店までの沿線にはきれいな花を植えていて、島全体に青いレモンの島というイメージがすっかり定着していました。何でもないことですがツーリズムの基本はやはりもてなしの心なのです。

 帰りに港の近くの特産品センターにも立ち寄りました。日常は来訪者のそんなに多くない島なので、他の特産品センターとは見劣りがするものの、レモンポークという新しい商品も開発されていて、身の丈の雰囲気でした。春の積善山の桜の花の写真を見ながら、来年の春はぜひ訪ねてみたいものだと思いました。


  「レモン色 緑色して 何故青と 呼ぶのか不思議 馬鹿な考え」

  「レモンティ レモンのつぼみ そっと入れ 花弁開く 粋な計らい」 

  「船着き場 島の人々 たむろして なまりで話す のどけき風情」

  「知事さんの 来店写真 飾ってる ここは愛媛と 言わんばかりに」

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shin-1さんの日記

○しまなみ海道ニューツーリズム現地調査①

 前回のニューツーリズム現地調査は旧新宮村と旧別子山村でしたが、今回は開通10周年を迎えたしまなみ海道周辺です。今年から愛媛県の五地方局が三地方局に統合再編され東予地方局が誕生しましたが、東予地方局商工振興室は地方局本庁舎からかなり離れた旧丹原町の第二庁舎にあるため少し違和感を感じました。この商工振興室が香川県境、高知県境の四国中央市から広島県境の上島町までの商工観光をカバーしなければならないのですから、気の遠くなるような仕事なのです。でも國元室長以下8人の精鋭の揃った事務所には、東予地方局管内の西条だんじりまつりや、新居浜太鼓台まつり、しまなみ海道、石鎚山など全国級の観光資源をPRするポスターが所狭しと張られ、まるで夢の小箱の中にいるような錯覚になりました。これらの観光資源は愛媛県内外でも高い評価は受けているものの、その活用方法はまだまだ発展途上で、今回のニューツーリズムへの取り組みもその一環なのです。

 高速道路伊予インターから丹原インターまで走り商工振興室で國元室長、井下係長と合流し早速しまなみ海道のルートにある上島町を目指しました。今治市内はまだ高速道路に未開通な部分がありますが、そんなに長い距離でもなく、裏道を通ってすんなり今治のインターチェンジからしまなみ海道へ乗りました。朝が早かったためか三連吊り橋が美しい来島大橋付近は車の通行もまばらでした。私たちは伯方島で高速を降り、木浦港から高速船に乗って上島町の弓削島を目指しました。この船は今治発ですがこの方法が一番便利で早いのです。

 弓削島へはこの日お邪魔する親友兼頭さんが新天地と定めて入島していて、松下政経塾の卒業イベントのお手伝いをしたり、弓削商船高専で講演を頼まれたり、また内閣府の地域活性化の説明会に委員として行ったりするなど、何かと機会の多い島なのです。

 弓削島と佐島には離島振興の目的で既に橋がかかっていますが、佐島と対岸の生名島にも高架橋がかかる予定で、既に橋桁部分は完成間近で工事が急ピッチで行われていました。短いながら船の旅はのんびりしていて、船内での会話にも風情を感じました。弓削島の港付近は訪れる度に整備が進んでいて、島とは思えないようなお洒落な雰囲気です。

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(島おこしの拠点となっている「和風でモダンな「しまでcafe」)

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(「しまでcafe」の内部)
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 徒歩で役場を通り過ぎすぐ横の(株)しま会社のある「しまでcafe」に行きました。ここを拠点に兼頭一司さんや村上律子さんは島おこし運動をやっているのです。兼頭さんが人間牧場へ訪ねてきたのは3年も前のことでした。以来兼頭さんはコミュニティビジネスをテーマに掲げ様々な取り組みを始めているのです。「しまcafe」はその中心となるもので、小さなこだわりのレストランをオープンさせています。食材も地産地消にこだわり中々のメニューでした。兼頭さんが遠来の客を接客中だったので村上律子さんから色々な取り組みについて話を聞きました。株式会社の設立から運営、動き出している市民農園プロジェクト、修学旅行の受け入れ、特産品の開発など、様々な取り組みが行われていました。

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(都会の人のための市民農園も整備されつつありました。
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 上島町はすぐ目の前の対岸が尾道市で、東京に近い利点もあって完全に顔はそちらに向いているようです。水も電気も広島県の恩恵を受けている地域としては当然と言えば当然ですが、旧新宮村と同じようにハイモビリティ社会の影響がここにもありました。これからは隣県広島という、あるいは首都圏という広域地域を意識しないと特に観光は生きてい行けないのです。そういう意味では県都松山よりはるかに進んだ情報が流れ込んでいて、ある意味先進地という印象を強く受けました。

 さて上島町では弓削島、生名島など既に様々なプログラムが動いていて、その整理をするだけでも随分ヒントが隠されているようです。また旧因島、旧瀬戸田など隣の島との連携を考えれば無数の知恵が生まれるようです。


  「島おこし 希望を胸に 住みついて 孤軍奮闘 嬉し頼もし」

  「島故に 不便もあるが 喜びも いつの間にやら 島人なりて」

  「商売の 相手は都会 心得て 知恵さえ出せば 資源ごろごろ」

  「またひとつ 橋が架かるが 嬉しさと 不安半々 誰もが思う」 

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