〇手をつないで歩く人たち
最近都会から越してきた近所に住む中年カップルと、老年カップルが手をつないで歩いている姿を時々見かけるようになりました。幼稚園児や若いカップルが手をつないで歩く姿はよく見かけ、何の違和感もありませんが、田舎故手をつないで歩く中年カップルの姿を見ると、こちらが気恥ずかしい感じがして、思わず目をそらしてしまうのも、やはり私が古い時代の感覚を引きずった人間であるからのようです。
私は結婚以来50年が経ちましたが、まだ一度も妻と手をつないだり組んだりして歩いたことがないのです。時々誰もいない時妻がふざけて手を組もうとすることがありますが、その度に「恥ずかしいからやめろ」と拒否するのです。半面おく目もなく、周りを気にせず手をつないで歩く中年カップルの様子を見ていると、少し羨ましくなるのも事実で、生まれる時代が早かったと、勇気のなさを悔やんでいます。
手をつないで歩く老年カップルは、ご主人が脳梗塞で歩くのが少し不自由で、奥さんが介助のためのようですが、何ともほほえました姿で、思わず声をかけて立ち話をしたりします。老域に入った私たち夫婦も、やがてこんな手つなぎカップルになるだろうと予想はしますが、妻も私も今のところは独り歩きができています。先日私より1つ年上の近所の人が脳梗塞で倒れ、救急車で県立中央病院に運ばれ入院したようです。障がいが残るようでこれまで運転していた車を処分したそうです。少し寂しい風の便りでした。
「手をつなぎ 中年カップル 歩いてる 羨ましいと 思う反面」
「結婚し 50年経っても 手も組まず 気恥ずかしさが 先に立つゆえ」
「老夫婦 ほほえましくも 手をつなぎ 歩く姿に われらも今に」
「俺の後 散歩下がって 歩くよう 馬鹿げた時代 育った私」