〇人間牧場での収穫祭
⑥電気柵のお陰
この2年間、人間牧場の芋畑はイノシシの標的に遭って全ての芋を持ち去られ、収穫ゼロでした。折角植えたサツマイモをどのようにしたら、イノシシに食べられないようになるかは、人間牧場の畑にサツマイモを植えてから8年間、ずっと考え続けたことでした。漁師さんから魚網を貰って周囲に張り巡らせたり、空き缶を吊るしてイノシシじゃらしを試みたりしましたが、結局一時しのぎで完全に撃退することは出来なかったのです。「どうしたらイノシシの知恵に人間の知恵が上回るか」考えたのは2つでした。その一つはサツマイモの作付けを止めることです。つまりイノシシに白旗を揚げることです。これは何としても避けたいと思い、もう一つの妙案である、文明の利器といわれる電気柵を周囲に張り巡らせる方法を実行することにしました。
公民館の宮栄館長さんにお願いして電気柵を張り、バッテリーの電源を夜だけ通電させるのです。電気柵を乗り越えない保証はどこにもありませんが、とりあえず芋のつる植えが終わり苗が活着した、6月下旬に周囲を囲っている魚網の更に外側に電気柵を張り巡らせました。
ところがこの電気柵にも問題があって、雑草が繁茂する夏場なので、電線の下草が直ぐに伸びて、少し油断すると草丈が伸び、カズラだって巻きつき放電してしまうのです。そのため私は人間牧場へ出かける度に草刈機を使って、草を何度となく丁寧に刈り管理をしました。そのお陰でしょうか1週間前まではイノシシの被害にも遭わず、順調に推移しました。
イノシシは嗅覚が鋭いので、もうそろそろと思った頃に出没するので、一週間前から厳戒態勢に入りました。その頃になると芋畑と目と鼻の先にある人間牧場の入口付近の道沿いには、イノシシが出没して土を掘り返し、見るも無残な姿になってしまいました。私はスコップでその土を道の両側に跳ね上げましたが、残暑とも思える厳しい暑さの中で大汗をかいて、手の平には3つも豆を作ってしまいました。
そんなこんなんの緊張感はあったものの、電気柵と宮栄館長さんのお陰で被害に遭うこともな、くサツマイモの収穫祭をすることが出来たのです。しかし今年の夏の暑さは異常なほどで、1ヶ月も雨が降らず日焼け気味で収穫は今一でしたが、それでも芋飯を食べたり、お土産に2個ずつ持ち帰りました。
さて来年はどうするか、思いの分かれるところでしょうが、来年は2月ころにジャガイモを植え、短期決戦で5月に収穫祭をしてはどうかという案も浮上しています。子どもをお客さんにだけにはしたくないものの、結局は子どもたちの置かれている忙しい立場を考えれば、それも無理からぬことかも知れません。昔はジャガイモを狙うイノッシシはいませんでしたが、今は灰汁の強いコンニャクイモ以外は全て狙われるので、ジャガイモになっても電気柵のご厄介にならなければならないのかも知れません。人間と野生動物の共生は最早夢のまた夢かも・・・・。ああ煩わしい世の中になったものです。
「電気柵 やはり最後は 文明の 利器に頼って 難を逃れる」
「電気柵 お陰でイノシシ サツマイモ 食べず収穫 3年越しで」
「電気柵 何度草刈り しただろう それでも成果 あっただけでも」
「電気柵 今度ジャガイモ 植えたとて 世話にならねば 笑顔も見えず」