〇鉄道の日記念イベント
小さな無人駅「下灘駅」のプラットホームを使って、夕焼けコンサートを始めたのは、今から28年も前のことでした。その以前から下灘駅は駅員さんが暇を見つけて、プラットホームから投げ釣りをするほど海に近く、いつしか誰言うでもなく「日本で一番海に近い駅」という愛称がつき、カメラマンの間で密かに人気を博していました。その後映画寅さんシリーズ第19作、「殿様と寅次郎」の舞台となったり、青春18キップのキャンペーンポスターに3回も登場するなど、話題は尽きませんでしたが、予讃線海岸周りの線路と並行して走る道路が国道に昇格して378号となり、道路は一気に改良が進みました。と同時に列車の昇降客は激減、内子を通る内陸線が開通して本線になると、海岸周りは一日十数本しか通らないローカル線化し、並行路線は廃線という悲しい運命が待ち受けていました。
そこで思いついたのが、駅のプラットホームを舞台にするという私の奇抜なアイディアでした。しかも夕日を前面に押し出し、鉄道存続運動は隠し味にしたコンサートは思わぬ大ヒットとなり、下灘駅には開業以来始めてとなる千人もの人が集まったのです。
以来夕焼けトロッコ列車を走らせたり、様々な情報発信をしながら多くの人の想いを集めて今日を迎えていますが、28回続く夕焼けプラットホームコンサートは勿論のこと、駅にスポットを当てた取り組みのお陰で下灘駅は無人駅ながら多くのファンを集め、人気度抜群の知名度を誇っているのです。
昨日は明治5年新橋と横浜を結ぶ日本初の鉄道が開業した(10月14日)日で、鉄道の日記念と銘打って「ザ・芝居小屋」という小さなイベントが地元の人たちによって開かれました。午後2時からのイベントに妻と3人の孫たちと連れだって出かけました。内容は子ども詠み語り隊、人形げきやおたこぐみ、ぶちっとおはなしお届け隊、権利擁護劇団あど防、腹話術・みちえとさくらちゃんの5本立てでした。
子ども読み語り隊の黒山の大蛇と、腹話術・みちえとさくらちゃんの2本を楽しく見せてもらいましたが、昨日は昼間の気温が30度近くまで上がって真夏日になり、孫たちは大汗をかきながら暑い暑いを連発するものですから、熱中症にでもなったら大変とばかりに、ドーナツや鱧かつバーガー買って早々にお暇しました。
今ではすっかり有名になったJR下灘駅は、地元の人たちの熱意によって年中様々な花が咲いています。今は酔芙蓉の花が見ごろで、とても綺麗に咲いていました。私たちも一花咲かせようと残暑厳しい頃草を刈り、菜の花の種を少し蒔きましたが、残念ながら1ヶ月近くも雨の降らない猛暑に負けて菜の花の芽は出ませんでした。
地域づくりは失敗するから成功を夢見て頑張れると、少々落胆はしたものの次の作戦を目論んでいます。これが身の丈、これが自分たちに出来るささやかな挑戦なのです。