人間牧場

〇中国地方800キロの旅(その4・三原市シルバーセンター30周年記念講演)

 何度か講演に来ている三原市中央公民館ですが、この日はかつて中央公民館長を勤めていた安森さんが理事長を務めている、三原市シルバー人材センターの30周年記念式典の記念講演でした。安森さんは10年も社会教育をした大ベテランで、退職してから請われてこの役職に赴いたようでした。10年も前に私が話したことをよく覚えていて、懐かしい再会となりました。
 この日中央公民館の内外では生涯学習フェスティバルが賑やかに開かれていて、大ホールの高齢者作品展は、応接室で出会った市長さんが自慢するだけあって、かなりレベルの高い作品が所狭しと並べられ、多くの市民が訪れて賑やかでした。

 公民館の中庭ではテント村が作られ、また屋外ステージではキッズたちの素晴らしい活き活きとした創作ダンスがビートの効いた音楽に乗って踊られていました。今の子どもたちは私たちの子どものころとはまったく違い、想像もつかない演技力でいいものを見せていただきました。
 レストランで役員さんんと一緒に昼食をいただき、用意された応接控室で記念式典の終るのを待ちましたが、表彰が長引き、私の話は10分ばかり短縮すなければならなくなりました。主催者は時間を延ばしても結構だといわれましたが、私は終る時間ぐらいは守ろうと、予定されていた15時きっかりに話を終えましたが、殆んど満席の参加者は午後の一番眠い時間にもかかわらず、眠る人もなく大爆笑をしながら熱心に私の話を聞いてくれました。

記念講演会場

 この日の参加者は来賓や一部の人を除けば殆んどの人が、65歳以上の高齢者なので、私はこの日ばかりは少し話すスピードを落とし、ゆっくりとした口調で話すことを心がけたため、自分の感触としてもいい状態でした。どんないい話でも相手の心の扉を開けなければ届かないし、ましてや眠ってしまうと元の木阿弥なのです。この日私は手持ちのハーモニカで井沢八郎の「ああ上野駅」と、ペギー葉山の「南国土佐を後にして」の2曲を吹きました。すると会場の中から何処からともなく口ずさむ声が聞こえ、やがてその声はかなり大きなハーモニーとなって会場を包み込みました。
 講演が終わって帰り際、参加者の何人かに玄関口で出会いましたが、「私涙が出た」とか、「いい講演だった。ありがとう」「又来てください」と声をかけていただきました。いやあ講演冥利につきました。

私の帰りを出迎えてくれた瀬戸内の夕日(北条辺りでの夕日を車窓から)

 この一週間は忙しかったため、あっという間に終ってしまいましたが、高校生から一般成人、高齢者に至るまで、様々な年齢層の方々に、幸せと感じて日々楽しく田舎で生きている私の思いを、お話をするという手段でお裾分けをすることが出来ました。
 世の中が不景気なため、GNPなどと経済成長ばかりに目が行っている昨今ですが、私はむしろブータン王国の国王が述べた幸福感こそ、今の日本に欲しいものではないかと思うのです。経済成長は1~3パーセントで満足できるような暮らしをしつつ、むしろ自分の人間力成長に重きを置いて生きたいものです。今回の旅はそんなことを考えさせられる旅でした。

  「ハーモニカ 吹けばみんなが 口ずさむ 涙が出たと 握手求めに」

  「経済の 成長よりも 幸福を 感じるような 成長したい」

  「10年も 前の私の 講演を 覚えていると 内容披瀝」

  「2日間 出歩きわが家 帰ったが やはり落ち着く 家族いるから」

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