人間牧場

○北海道旅日記(その3)

 女満別空港行きの飛行機の機内は、3月2日金曜日の昼間ということもあって、座席は空席が目立っていました。「間もなく女満別空港に着陸します」という機内アナウンスとともに、きちんと除雪している滑走路へ予定通りの時間に着陸しました。冬の女満別空港は2年ぶりで、松山空港で預けていた少し大きめのカバンを受け取り到着ロビーに向かいました。空港には船木さんが出迎えに来ていてこれまた2年ぶりの嬉しい再会です。船木さんはいきなり私に、「今からだと間に合うので流氷を見に行きましょう」と誘ってくれました。わが妻のように流氷を見るためにツアーで来ても見れない人間もいるのですから、早速その言葉に甘えて網走まで車を走らせました。

 流氷観光船が出る船着場には沢山の観光バスが到着してかなり混雑していましたが、予定通り観光船に乗り少し岸から離れた沖合いまで走りました。「せっかくだから特等席で見よう」というので船木さんが1人400円を出して中に入りました。何年か前に見た流氷ほど大きなものではありませんでしたが、それでもそれぞれの氷がまるでオオオニバスのような格好をしていて、とても幻想的でした。観光船は小売を押しのけるように沖合いまで進み、私も他の観光客に釣られてデッキに出て、船が小氷を割る迫力を目の当たりに見学しましたが、やはり氷点下10度の世界は肌を刺すような寒さで、そのうち室内へ入りました。何匹かのオジロワシが流氷の上で休んでいる姿を見ながら港に帰って来ましたが、今回の旅の土産話となる予定の流氷を見ることができて大満足でした。

 船木さんの車で津別町まで戻り、津別の西洋軒という塩ラーメンが美味いという店へ入りました。ここで夜の講演会を企画した津別町議会の篠原眞稚子副議長さんとお会いしました。大変失礼ながら女性で5期目の議員さんですから、さぞやおっかないと思いきや、気さくでとても素敵な方で安心しました。ラーメンを食べながら演題が「地域を支える人へのメッセージ」、50人くらい集まる、グリーンツーリズムの話や観光でのまちづくりなどについて話して欲しいなどなど、少し話の実態が見えてきました。
 ラーメン屋かのすぐ近くに会場となる木造の立派な建物はありました。町長さんや役場産業課職員、ツーリズム関係者、中には隣町美幌町議会の上杉さんの顔も混じって、北海道とはいいながら何人か顔見知りの人もいて、少し安心少し不安が交錯しました。

 講演は予定通りの人が集まって予定通りに始まり、約一時間の講演のあと30分ばかり質疑応答を行ないました。この町はご多聞に漏れず少子化が進んでいるそうで、そのことが気になるようでしたが、子どもの医療費を無料にするなどやっている子育て対策が具体的な実績になるまでのホームランはまだ打てていないようです。「津別はどんな町?」と印象を聞かれましたが、正直なところ普通のどこにでもあるような町とお見受けしました。だからといって何もないことを卑下する必要はなく、自分の住んでる町のいいとこを見つけ、それをオンリーワンに仕立てて行けば必ずいい町はできるのです。楽しいこと、美しいこと、新しいことをみんなでやれば、ひょっとしたらオンリーワンながら日本一になる可能性があるのかも知れません。

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