○「ダイエット 犬の散歩で 犬が痩せ」。太るはずです
私たちが子どもの頃、自分の身の回りには見渡しても太った人は殆どいませんでした。それは多分二つの理由があったのだと思います。まずひとつは食べ物が少なかったことです。私が少年時代は戦後間もない頃で、三度三度の食事にさえ事欠く有様でした。しかもサツマイモや麦飯など今では美食と持て囃されているものが日常食だったのです。子ども心に配給や闇市なんて言葉を知っているのですから、もう随分古い話です。漁村に生まれたため魚はふんだんに食べましたが、肉や甘いものは贅沢な食べ物で、年に何度かしか食べれなかったのです。故に成人病の三大原因とされる脂肪、糖分、塩分の中でも脂肪と糖分は欠乏気味で塩分の取り過ぎが問題になっていた程度でした。
今は物が豊かになり暮しが豊かになって正直栄養過多です。しかも自分で作らなくてもお金さえ出せば外食も出来るし、スーパーに行けば惣菜だって食べたいものが幾らでも所狭しと並んでいるのです。人間は不思議なもので好きなものは食べますが嫌いなものは殆ど買わず口にしたがりません。例えば納豆はどちらかというと関西では食べる風習がなかったため、うちの親父などは生まれてこの方「あんなネバネバの食べ物は気持ちが悪い」といって納豆は食べたことがないのです。比較的好き嫌いの少ない私だって人には言えませんが嫌いなものがあるのです。私の場合胆のうを手術してから極端に少なくなった食べ物がお肉です。若い頃からそれ程好きなものではないにしても食べることは食べていましたが、今は自分から進んでは殆ど食べないのです。妻はそのことを気にして、カレーやシチュウに入れたりしてまるで好き嫌いの激しい子どもをあやすようにして食べさせようとするのですが、どちらかというとベジタリアンなのです。
少し肥え気味の妻は傍で見ていると、確かに主食は余り食べませんが間食をよくするようです。私が旅先でお土産に貰ってきたものは箱に賞味期限をマジックで書き適当に食べていますし、飲み物も私よりよく飲みます。リタイアした私へのあてつけでしょうか、そのことを指摘すると「働いているのだからこれぐらいは食べないと体が持たない」などと理由をつけて食べています。さすがに最近は健康診断でコレステロールを指摘され9時を門限と定めて食べないようになりましたが、お陰で少し体重がダウンしたようです。まあ肥満の第一の原因は食べ過ぎ、間食し過ぎ、脂肪・糖分の取り過ぎだと思うのです。
さてもうひとつの原因は運動不足です。どこかで聞いた川柳に「ダイエット 犬の散歩で 犬が痩せ」なんてのがありましたが、私自身を考えても運動は極端に減っています。今朝から何歩歩いただろうかと携帯電話についている万歩計を見ると、朝からの歩数は僅かに4143歩です。朝は眠い、昼間は暑い、夕方は疲れると運動しない人は体を動かさないのです。私の場合は人間牧場が出来てから草刈りや野菜の世話、人との出会いで体を動かすことが多くなったものの、毎朝5時からシーサイド公園の掃除をやっていた昔に比べたら雲泥の差です。
ある公民館の壁に貼り付けていた言葉に「少欲多施、少食多噛」というのがありましたが、その言葉に混じって体を動かすことの大切さを説いたものが幾つかありました。拳拳服膺しながら体にいいことは直ぐに実行する、体に悪いことは直ぐに止める、誰とは言いませんが太った人を見ながらそんな決意をした次第です。外は初夏、もう少し歩こうと妻の買ってくれたツバの広い麦藁帽子を被りあと5857歩、つまり今日の一万歩に挑戦です。
「運動が 少し足りない そう思い 一万歩への 今から挑戦」
「人のこと 気にせず自分 まず自分 いい聞かせつつ 少し早足」
「食べたもの 果て何だった 早忘れ これで長生き できる訳なし」
「酒止めて 幾分体 健康に 次は運動 体動かす」