shin-1さんの日記

○今年最後の授業

 4年前、愛媛大学法文学部総合政策学科非常勤講師という肩書きをいただいて未知の分野である大学の講義に挑戦し始めました。大学も出ていない私ゆえ大学のしくみも授業の組み立てさえも分らぬまま、独学とでもいうのでしょうか年間60時間の授業計画を立て、苦心惨憺しながら学生との出会いを楽しみにただひたすら授業を続けてきました。私の授業はフィールドワークですから学生を積極的に学外へ連れ出したり、まちづくり人に合わせたりしながら、「地域振興と地域づくり」という独自のワールドを作ってきました。結果がどうであったかは授業を学んだ学生に書かないと分らないのですが、時々出会う学生たちからは「勉強になった」「楽しかった」知らない街や知らない人にあっていい刺激を受けた」とかなり好評のようです。何せ私の話はどちらかというと学問というよりは生き方の学びですから、社会に出ても役に立つことを主眼にしていますので、学生の話が本当ならば最初に目標として掲げた「学びのたのくるしさ」(楽しい×苦しいを掛け合わせた造語)を実感しているのではないかと思うのです。

 この4年間のテーマは「住みたいまちの条件」と「訪ねたいまちの条件」です。一年間の前半はまちづくりの基礎教育に当てました。中盤は県内の市町に出かけて実態調査をしました。そして後半は住みたいまちと訪ねたいまちの理想を求めて議論し、バーチャルの世界で夢のまちを作ろうというものです。私はこの作品に懸賞金を出しました。講義をしていただく何がしかの安い講義料の中から1万円を賞金として学生たちに提示したのです。今の学生にしてみれば1万円なんてはした金かもしれませんが、それでも4人グループだと1回の夕食懇談くらいは出来るだろうと考えたのです。

 今年最後の授業日となる12月13日、法文学部2階202号室で発表会は行われました。





 抽選で決めた順番に従ってそれぞれの班に与えられた10分間の時間内でいかに表現するか、各班の実力の見せ所なのです。多分彼らは2枚の図表を作るために相当な知恵と努力をつぎ込みました。そして発表の原稿たるやこれまた相当な打ち合わせを行ったのではないかと思われます。結果は各班の持ち点を内容5点、図表5点、発表5点として、自分の発表が終わると他の班に採点してもらって集計をするのです。勿論教官たる私も同じような点数で採点し加点しました。結果は以下の黒板採点表の通りで、一点差で3班がグランプリに輝きました。早速賞金を渡して表彰をしたのですが、一年間の学びの集大成とでも言うべき発表会は多くの学びが発表の随所に見られ、大成功でした。


 グランプリを獲得したのはこのグル-プです。発表会の終了後会場で財布を出して1万円を4等分するあたりはさすが現代人ですね。

 今年の授業はこれで終りです。後は学生から1月10日までに送られてくる2枚のレポートと出席簿、それに授業態度を見て点数をつけ、資料と共に大学へ提出して長かった一年間の授業を終えるのです。

 今年の学生は22人でしたが、今年初めて授業を無断欠席した一人にペナルティとして単位を与えないと通告しました。「たのくるしい」ということはしっかりと学ばせたつもりです。でも今年もいい学生に恵まれ楽しく学ばせることが出来たと喜んでいます。今年は3回生、4回生もいてレベルの高い授業が出来たように思います。自分にも学生にも「ご苦労様」でした。

  「大学を 出てない俺さえ 教壇に 立てるのだから 誰でもできる」

  「ああ俺も 生まれ変われる ものなれば こんな暮しが してみてみたい」

  「一万円 賞金出して 誘発す それに応える シビア学生」

  「学生の やっと名前を 覚えたに さよならするは 惜しい気もして」  



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shin-1さんの日記

○山猿と海猿の出会い

 山猿というペンネームで私のメールアドレスに手紙を送り続けている人がいます。高知県馬路村の木下君です。彼と始めて知り合ったのは今年2月24日、えひめ地域政策研究センターが愛媛松山で開いた「地域の自立とは何か」というシンポジウムがきっかけでした。その打ち合わせを兼ねた会合が前年の11月、高知県馬路村に登壇者を集めて行われ、東谷馬路村農協組合長の声かけで参加していた地元の青年が木下君でした。木下君は参加した徳島県上勝町の横石さんや愛媛県内子町の森本さんなど四国を代表する地域づくりの達人たちが居合わせていることも知らされぬまま酒席交流の人となっていました。多分「酒でも飲みに来ないか」という高知県人お得意の気軽さからの参加だったのでしょうが、その席で私と知り合いました。勿論2月24日には東谷組合長の応援団長として愛媛に乗り込み、人間牧場も見学し多くの人と交流をして帰って行きました。以後彼は私を馬路村魚梁瀬の講演会に呼んだり、ウナギを食べたりともう10年前から知っているようなそぶりでどんどん私と深くて広い交流をしているのです。

 魚梁瀬での講演会の模様はその日のブログで書いているので割愛しますが、その折知り合った湯浅建設の社長さんご夫妻と知り合い、口相撲の約束を果たすため魚梁瀬杉の板をわざわざ運ぶため人間牧場へやって来たのです。正直いって口約束ですから何の当てもないのに、湯浅社長は奥さんを伴って山猿と一緒に12月15日、約束の午後2時きっかりにわが家へ到着しました。しかも片道5時間もかかるような遠い道のりをトラックに魚梁瀬杉の一枚板を積んで来たのです。呆れるやら嬉しいやらで、年甲斐もなく少し涙ぐんでしまいました。

?これが木下君が軽四トラックで運んでくれた魚梁瀬杉の一枚板です。埃にまみれているためまだその全容は明らかになっていませんが、3人でやっと持ち上げる重さといえば想像がつくでしょう。足にする枝木も一緒に運んでもらい、これからの作業が楽しみです。

 さてこの日は、先日までの雨も止み絶好の小春日和でした。木下君と湯浅社長ご夫妻の3人をわが愛車に乗せて人間牧場へご案内させてもらいました。風もなく穏やかな日和で、少しガスがかかっていたものの眺望はまずまずで社長さんご夫妻も満足したようでした。

 折角夫婦で来られたのに、社長さんと奥さんの間に入って写真に納まるあたり、木下君は相変わらず意地が悪いと思いました。その夜は3人が松山のワシントンホテルへ泊まるというので、別々の車に乗ってホテルで落ち合い、近くの炉端焼きのお店でささやかな交流会を持ちました。まあ社長さんご夫妻の楽しい会話には正直参りました。

 人の縁とは不思議なものです。木下君もさることながら湯浅社長ご夫妻とは二度目の対面なのにこうも楽しく、こうも奥深い話をしていいのだろうかと思うほどご縁を深めることが出来ました。人は夢を食べながら生きる動物です。夢を持った人に会うと、また会いたいと思うのです。また会いたい馬路村の方々とまた会いたいものです。

  「はるばると 馬路魚梁瀬の 山路より 約束積んで お供従え」

  「二度目とは 思えぬ程の 出会いにて 交わす盃 程よき酔いに」 

  「次は何時 会えるだろうか ワクワクと 握手の温もり 今もこの手に」

  「いい人は いい人連れて やって来る 俺もいい人 いい人連れて」  

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