○中小企業の活性化
最近は異業種交流などの会合で話す機会が多いものですから、私のアドバイスをいただきたいという中小企業の社長さんもいて、結構親しくしてもらっています。その中の一人に隣町松前町のギノー味噌の田中社長さんがいます。奥さんが双海町出身ということもあったり、奥さんのお父さんとじっ魂の間柄なので、最近急速に関係が深まりました。たまの日曜日にお風呂で会う彼は創業者であるお父さんや子どもさんと連れ立ってお風呂で出会うのですが、父親をいたわる姿や私に接する姿はまあ礼儀正しいのでこちらが恐縮するほどなのです。裸の付き合いとはこのことをいうのでしょうか、風呂でも彼は真面目な仕事の話をサウナの中で汗をかきながら話します。多分彼の頭の中は会社の経営のことでいっぱいなのでしょう。創業者から家督と暖簾を譲られる二代目の社長はこの世の中には多く、私の知ってる人でも指折り数え切れないほどいるのですが、意外と「親難儀、子道楽、孫乞食」といわれるほどに、苦労忍耐の足らぬノホホン社長も見かけます。しかしこの社長の生き方は少し違っているようで、今時珍しい子沢山な子どもを山村留学に送るなど、自分の生き方に留まらず、次の世代をも見越した壮大なスケールで人生を見ているような気がするのです。
一昨日の土曜日、会社の社員研修に呼ばれました。休日の早朝8時からの研修は目覚めの遅い人たちからはブーイングでしょうが、8時から研修会を始めようとするやる気こそ大切なのです。50人を越える社員全員で社是や会社の基本方針を朗読唱和して確認する光景に、会社の並々ならぬ意気込みを感じました。また年商目標や粗利、経常利益など様々な数値目標からクレームへの対応に至るまでこれほどまでに気をつけなければならないのかと思うほどの厳しさを垣間見ました。
社長の説明によると、これまで経営方針は主に社長が作り、会社の名の元に実行していたそうです。今年からは社長の肝いりで幹部職員と合作の方針を作り上げたようです。私はこのプロセス転換に大きな拍手を送ります。会社は縦社会を作らないといけない部分もありますが、チームワークも必要です。トップダウンとボトムアップが上手く組み合わされなければこれからの会社は生き残れないと思うのです。
さて私の話は「新しい発想で生きる」というタイトルでした。喉を傷めていたこともあって参加した方々には聞きづらい点もあったのではないかと思われますが、演台から見る限り反応は上々のようでした。新しい発想はものの見方を変えることから始まります。やらないことをやれないと諦めていたことでも、その気になってすれば結果は自ずから生まれてきます。「鮮やかに想像し熱烈に望み心から信じ魂を込めた熱意を持ってすれば何事もついには実現する」というポール・J・マイヤーの言葉のような生き方を社員一人一人が自覚したとき、会社は大きく成長することでしょう。この会社は新しい社屋の計画があるようで、まだまだ伸びる成長過程の会社とお見受けしました。だから私のような人間の小さく素朴なアイディアにでも耳を貸そうとするのです。
この研修会には驚いたことに社長の友人や取引先の社長さんも招かれ、席のあちらこちらにちらほら顔見知りの顔が見えていました。このように「会社をオープンにする」ことも社員の刺激になることでしょう。更には地産地消や地域貢献といった言葉も社長や幹部職員の話の中に沢山聞かれました。「食」という人間にとって極めて大切なものを扱う商売は「安心と安全」というテーマも更には「環境と共生」というテーマもクリアしなければなりません。また「食文化」も追求しなければなりません。その上で利潤を追求しなければならないのですから、まさに奇跡の産業とでも言うべきでしょう。「店と屏風は大きくなったら倒れる」というジンクスを肝に銘じ頑張って欲しいと思います。ギノー味噌頑張れ。
「何時の間に 味噌買うものと なったのか 合わせ味噌汁 あったかご飯」
「脳ミソの ミソ元味噌と ある学者 それがミソだと 味噌汁すすり」
「味噌汁も 出来ない世代 増え過ぎて 朝飯食わず 子ども学校」
「おふくろの 味はやっぱり お味噌汁 死んでも舌が 懐かし思う」