○鳥(酉年)に負けた猿(申年)
これは動物同士の喧嘩ではありません。わが家の出来事です。どの家にもテレビの2台くらいはあると思うのですが、家族の少なくなったわが家にも居間用、次男息子用、それに空き部屋となって時たま帰ってくる長男と三男用の4台もあるのです。普通は居間で暗黙の了解のようなものがあって、朝はNHKニュース、昼はおもいきりテレビなどを見ながら食事をするのですが、昨晩夫婦間でちょっとしたもめごとがありました。朝新聞を開けてテレビの番組表を見ると北大路欣也の風林火山があるので、今晩は2時間ゆっくり見ようと心に決めていました。さあ見ようとタイトルが出た矢先に妻が外出先から帰って来ました。居間に入るなりテレビのチャンネルをウルルン滞在記という番組に私に相談もなく変えてしまったのです。
さあ大変、それから少しばかりの口論となりました。「何故変える」「この番組見たかったの」「俺も見たかった」「あなたには先日も譲ったのだから今日ぐらいは」「お前は昨日もそういってチャンネルを奪った」とまあ他愛もない口喧嘩となったのです。昔なら茶碗やコップを投げて自分を主張したでしょうが、結局は私が負けて渋々息子の部屋へ退散と相成りました。わが家のチャンネル権争奪戦に負けた腹立たしさからすっかり興味もさめて、何と妻と同じ番組を別々の部屋で見てしまったのです。
妻は酉年です。酉は早く寝るそうらしいのですが、酉年の妻は夜が強く朝が弱いタイプなので、夜はっビデオを見たりしながら遅くまで起きています。私は申年です。申なのに夜が弱く朝早い生活リズムなのです。こうして違う生活習慣を持ちながら30数年間もよく夫婦が務まったものだと関心しきりです。
最近はことテレビのチャンネル権争いは妻に分があり負けてばかりです。でもテレビのチャンネル権くらいは妻にも譲った方がいいかもと、寝ながら反省しました。妻が言うように「テレビはわが家に4台もある。見たかったらそこへ行けばいい」し、「あなたにはちゃんとした書斎があるが私にはない。居間ぐらい私の自由を下さい」にも一利あるようです。
チャンネル権争奪戦に敗れた猿は去るのみです。ああ寂しいかな濡れ落ち葉。私の行く手はいったいどうなるのでしょう。鳥(酉)に負けた猿(申)物語」一巻の終わりです。お終い。
「テレビさえ妻に奪われ濡れ落ち葉寂しくテレビ別室で見る」
「何につけ性格違う二人だが違うからこそオシドリ夫婦」
「俺見たい私も見たいこのテレビいつも喧嘩はテレビ囲んで」
「今頃は二つが見えるテレビあり同じ部屋にて夫婦別々」