○金で解決できないことはない
ライブドアという会社の堀江社長さんが捕まりました。ホリエモンという愛称で呼ばれ、彼の言った「想定外・想定内」という言葉は昨年末流行語大賞を受賞するなど、様々な分野で注目を集めていました。東大在学中に会社を興し僅か700万円の小さな会社を700千億円の大会社にしたのですから、想定内どころか想定外の偉い出世でした。ライブドアの躍進によってインターネット産業の株価は留まるところを知らないほどの成長を遂げ、日本テレビやプロ野球に進出しようとした姿を見て、このままだと日本の全ての会社を乗っ取るのでhないかという勢いさえ感じさせるようでした。彼の発言や行くところ必ず話題が生まれ、新人類として落選はしたものの岡山選挙区で立候補し政界にまで触手を示しました。
今晩会合が終わって自宅に戻ると、妻はテレビの前に座ってこのニュースの行方をじっと見ていたそうで、風呂の元栓を締めるのも忘れて流しっぱなしなったと興奮気味に話すのです。任意の事情聴取の後逮捕され、今晩は氷点下の独房で眠れぬ一夜を過ごすのだと報じていました。
経済界、しかもインターネット業界のことなので、我々庶民にはインサイダー取引だの何だの言われてもピンと来ませんが、要は汗水垂らさなくても、頭を使ってキーボード操作で巨万の富を築いたその手法が人をだました行為に当るというのです。人を殺したような犯罪なら分かりやすいのですが、我々庶民には何ら関係のない話のようにも思えるところが大きな特徴なのです。
プロ野球を買収しようとした時彼は取材に対し「金で解決できないことはない」と豪語していたのが印象的でした。事実金で巨万の富を築いたのですからこれまでの彼の人生は文字通り知識が生み出したマネーでした。しこしこれからは果たして金で出来るかどうかまでは想定外のことだったのかも知れません。
「策士策に溺れる」という言葉があります。若さゆえに突っ走り、彼の側近も彼のアクセルの踏み過ぎに対してブレーキを掛けることを勧めなかったのでしょう。
明日の新聞はこぞって一面トップ記事で「堀江社長逮捕」を報じるでしょうが、これも長い時の流れの中では、平成17年の10大ニュースの一項目として記憶の彼方に消えていく運命にあるのです。
「昨日までチヤホヤされてたあの人が今は冷たい拘置所の中」
「庶民には何のことやらチンプンカンノーネクタイにどんな罪なの」
「風呂さえも元栓忘れ釘付けに妻も馬鹿だなそんなニュースで」
「金もなく被害さえない我が家にはホリエモンさんお気の毒です」