〇不易と流行
「白露の己が姿をそのままに 紅葉におけば 紅の玉」という一休禅師の言葉があります。「本来の姿は少しも変っていないのに、周りの環境で外観が変わって見える」という例えですが、先日社会教育士の資格を取得するため、2週間にわたってオンラインの講習を受講しました。私は半世紀ともいえる49年前、教育委員会に在職中、当時の国立香川大学で約1ヶ月間社会教育主事講習を受けました。
社会教育の知識も経験も少ない28歳だった若い頃ゆえ、学ぶことすべてが新鮮で、講習はその後の自分の人生に大いに役に立ちました。49年の時は容赦なく流れ、漏れ聞けば今回の受講生の中で77歳の私は最高齢のようで、49年前一緒に受講した多くの仲間は既にリタイアしたり黄泉の国へと旅立って、私のように高齢にして受講する人など、どこを探しても見つかるはずがないのです。
私は若い頃公民館活動で、①仲間、②主張、③ふるさと、④感動、⑤夢、⑥学ぶ心という6つの道具を手に入れました。この6つの道具は手入れを怠ると錆びるから、一生磨き続けよとも諭されました。今回の講習はいわば⑥学ぶ心という道具磨きです。49年前に学んだ社会教育理論は、49年経って大きく様変わりしていました。特に新型コロナ以降急速に進んだオンラインの普及で、受講さえ家庭でできるようになりました。
しかし、社会教育とりわけ公民館の①集まる、②学ぶ、③つなぐという機能はいささかなりとも変わってはいないのです。自分の理想を追い求めて造った「人間牧場」や、私設公民館「煙会所」、海の資料館「海舟館」を使って、流行に惑わされず流行を取り入れ、不易な対人教育をこれからも続けて行きたいと、心を新たにしました。いい立ち止まりのひと時でした。
「一休さん 良いこと言ってる 感心し 自分自身の 生き方反省」
「最高齢 77歳 驚きぬ 私と同窓 何をしてるか」
「50年 前と今では 大違い それでも不易 人がファースト」
「いつまでも 学ぶ心を 忘れない 私の信念 これから先も」