〇退化と進化
年齢を重ねるにつれて、体のあちらこちらに不具合が生じ、病院通いや薬が増えたと、同年代の仲間と出会う度に話がそちらへ向くばかりでなく、「〇〇さんが亡くなった」とか「〇〇さんはどうやらガンらしい」などなど、噂話も後を絶たないようです。
かく言う私も昨今は、向こう脛を4針縫う怪我や帯状疱疹発症、前歯の抜歯、左足の外反母趾など、体調に関する出来事が多く、特に農作業や家事労働をする度に、気力と体力のバランスが崩れつつあることを実感しています。「もう思っているほど若くはないのだから気をつけないと」は、いつも言われる妻の言葉に納得しながら受け入れています。
先日松山に住む次男の家へ、自宅で採れた野菜を届けに妻と二人で立ち寄りました。理由をつけて3歳になる孫娘の顔を見に行くのも楽しみの一つですが、驚いたことに早くも親に買ってもらったという自転車に乗って、しかも一丁前に幼児用のヘルメットまで被り、さっそうとした姿で自宅の前の道路で遊んでいました。いやはや子どもの進化は著しものです。
退化の一途を辿る私と、進化著しい私との距離は益々開きつつあり、数日前「イチゴジャム」という言葉でちょっとしたハプニングがありました。同居の5年生になる孫奏心が「お父さんにイチゴジャムを買ってもらうので嬉しい」と言うのです。私はイチゴジャムと言えばてっきりパンに塗って食べるジャムのことだと思っていましたが、アマゾンの宅配で届いたイチゴジャムは、何とパソコン用の基板の略称だったのです。
孫奏心は只今パソコンにハマっていて、難しい本やタブレトを使いながら遊んでいるようで、私にはどれもチンプンカンプンで理解不能なのです。「孫と言葉が通じない」、これは由々しき問題ですが、進化のスピードが速い孫に比べ、時代遅れなじいちゃんである私の退化速度は早まるばかりです。あ~あ~です。
「友人に 会うと必ず 体調の こととか噂 話花咲く」
「孫娘 早くも自転車 乗り遊ぶ 一丁前に ヘルメット被り」
「イチゴジャム 食べるものかと 思ってた パソコン基盤 言葉通じぬ」
「退化する 私に比べ 進化する 孫たちその差 開き大きい」