〇ウラジロ採り
正月が近づくと私たちが子どもの頃は親父から、「〇〇日までにヤマクサを採って来るように」と命令口調で言いつけられました。毎年のことなので、どこにヤマクサがあるか本能的に知っていましたが、その場所は早い者勝ちでみんなが狙う場所でもあるので、少し遅れて山に入ると、葉先の痛んでいないヤマクサを探すのにかなり時間がかかりました。
その後自分の後継者たる息子たちは、そんな苦労をさせることもなく、76歳になった今もヤマクサ採りは「おじいちゃんの役割」として定着し、私の代で終わろうとしているのです。今年もいよいよ押し迫り、しめ縄作りも終わっているので、昨日は歩いてものの5分ほどもかからない、とっておきの場所へヤマクサを採りに出かけ、10分ほどで大小70枚程の山草を採りました。
私がヤマクサと呼んでいるウラジロは、しめ縄には欠かせないものです。29日に餅をつき、30日に鏡餅やしめ飾りにウラジロと五穀を奉書で包み金糸銀糸の水引で結んで飾ります。採ってきたウラジロは乾燥させないよう少し大きめのビニール袋に入れて保管をしました。今はスーパーなどは正月からお店が開いていて、おせちも外注が多く、買い出しする必要がないのですっかり廃れてしまいましたが、家族総出で正月の準備をした昔が懐かしく思い出される今日この頃です。
「子ども頃 親父に言われ ヤマクサを 森に分け入り 採った記憶が」
「子ども頃 もういくつ寝ると お正月 指折り数え あれこれ準備」
「ヤマクサを 採って来るのは じいちゃんの 仕事となって 久しかりけり」
「あと何年 生きるだろうか 来年も 多分元気で ヤマクサ採りに」