〇行く先々で得るもの多し(その4)
私は退職する前から、そして退職後も様々な所に顔を出しているため、様々な場所で様々な人と出会う機会が多く、この歳になっても一年間で使う名刺は千枚を越えるほどの出会いがあるのです。中には昨日まで出かけていた国立大洲青少年交流の家のように、職員の殆どとすっかり顔見知りとなって名刺を配らなくても、日常語で日常会話ができる所が沢山あるのです。国立大洲青少年交流の家はできる前から現在に至るまで、その整備や運営に深く関わって来たので、歴代の所長さんとも随分親しくさせてもらいました。最も親しかったのは何といっても新山前所長さんで、新山さんのその手腕とアイディアは抜群で、機構全体でも高い評価を受ける実績を残されました。個人的にも気が合い年輪塾にも塾生として積極的に参加してもらいましたが、転勤族ゆえに惜しまれて県外の施設へ転勤になりました。転勤後も年輪塾塾生とのメール交流が続いているのはやはりこの人の人徳だと思うのです。
国立大洲青少年交流の家の所長さんは個性的な人が多く、現所長さんもやる気満々で様々なことに挑戦しているようです。前所長から引き継いだ、双海町役場から引っ越した若人の樹も納まるところに収まり、今回行って見ると、偽木と木製チップを敷き詰めた立派な階段まで出来上がっていました。
現所長さんは書が達者なことは聞いていましたが、その書を木の板に彫り込んでペンティングして置物にする技術は玄人はだしで、今回所長室で見せてもらいましたが、いやはや驚きました。聞けばこれまでにもその腕を請われて各地の公共施設の看板まで製作して、プレゼントしているというから驚きです。私もお言葉に甘えて、大好きな「恩」という文字を書いて彫ってもらおうとお願いしましたが、既に依頼が多く少し先になるようです。
年輪塾では民俗学者宮本常一に続いて二宮金次郎、ジョン・万次郎を学習していますが、内村鑑三の名著代表的日本人に紹介されている、近江聖人中江藤樹も視野に入れているので、「忠」や「考」「恩」といった日本を代表する言葉も学習の過程で大切なテーマであると、所長さんと話していてひらめきました。
所長室の片隅に真新しい木製の巣箱が幾つか置かれていました。所長さんや職員の手作りと思われる立派な巣箱に話が及び、わが人間牧場のロケーション風呂の木の外壁が啄木鳥の被害にあって困るという話をしたら、巣箱を幾つか差し上げるという話になりました。折角作った巣箱をいただくのは少々虫が良過ぎると思いましたが、何と巣箱を6個もいただき、久保さんが運転してきていたライトバン公用車の後ろに積んで持ち帰りました。
私たちは列車で帰りましたが、久保さんは荷物を積み別行動で一人帰りました。夕方赤石さんと二人で自宅まで巣箱を届けてくれました。昨日も今日もあいにく雨模様ですが、天気がよくなったら早速人間牧場へ持って行き、そこここへ取り付けようと思っています。帰り際顔見知りの職員の方が巣箱と巣箱の間は30mくらい離さなければならないことも教わりました。いやはや子どもと一緒に巣箱を取り付ける次の作戦が楽しみです。
「世の中にゃ 変わった人が いるもので 会う度私 感化されつつ」
「書は達人 板に彫り込み 墨入れる さらに達人 恩を彫ってと」
「大洲藩 ゆかりの偉い 人ありて 大学・四書を 極めた奥義」
「啄木鳥の 被害思わぬ 展開に 巣箱いただき 木々に取り付け」