人間牧場

〇お手玉とまちづくり人武田信之さん

 新居浜に住む私の友人武田信之さんから、日本お手玉の会本部発行の「たまちゃん通信」31号を送ってもらいました。私は武田さんから頼まれてお手玉の会の顧問をしていますが、一度は行って見たいと思いつつ、毎年スケジュールが重なり、お手玉の会の大会にまだ一度も参加したことがなく、心苦しく思っているのです。31号の左隅に【教育新聞】「円卓」という興味あるコラム記事が載っていたので紹介します。

たまちゃん通信31号
たまちゃん通信31号

 お手玉遊びは、いま教育・介護・医療など広い分野で注目されているが、その歴史は古代エジプト文明の時代に遡る。ポンペイの遺跡の壁画、トルコのアナトリア文明博物館のネオヒッタイト時代の石のレリーフに、お手玉遊びがある。日本では聖徳太子が使ったとされる水晶のお手玉「石名取玉」が、国立法隆寺博物館にある。日本でお手玉といえば、小豆を布で包んだものが一般的。だが、これらの資料では羊の骨が多い。道具は羊の骨、石など様々だが遊び方は世界共通。
  中でも、日本のお手玉は大きな特徴がある。それは、道具のお手玉が手作りであること。おばあちゃんが日ごろから端切れを蓄えておき、孫のためにお手玉を縫って与えた。そのとき、おばあちゃんが孫に、裁縫の基本を教え、礼儀作法や公衆道徳、昔話などを話して聞かせた。そういう交流がいま見られない。お手玉が注目される理由のひとつに、この世代交流の復活があげられる。
 日本のお手玉には、作った人のぬくもりが込められている。お手玉に触れることで、ぬくもりが手から心に伝わる温かさがある。お手玉遊びは、心と体のバランスをとる運動であり、前頭前野が働き脳の活性化にもつながる。また、テレビゲーム漬けによる脳への弊害の改善につながるといわれる。それらの効果に注目して、介護の場面や高齢者の間で、お手玉が見直され、痴呆症の改善や回想法としても評価が高い。心療内科では、うつ病やパニック障害の治療にお手玉を採用する研究が進んでいる。
 学校教育では、グループでお手玉遊びを一緒に楽しむことで、思いやりの心を育てることに役立っている。また、お手玉遊びは笑顔を伴い、生き生きした表情が見られ、年齢、性別、国境を越えて楽しむことができる。三千年を越える歴史の伝承遊びであり、人類に必要な要素を含んでいるはず。お手玉遊びをいま一度見直していただきたい。

 この記事は、武田信之さんが教育新聞の依頼により書いたもののようです。武田さんは新居浜のお手玉を日本や世界に広く紹介した功労者ですが、おごることなく謙虚にして今もその発展に努力しています。尊敬するまちづくり人の一人として、これまでにも多くのことを学ばせていただきましたが、今年こそは新居浜のお手玉大会を是非この目で見たいと思っています。

  「お手玉に こんな歴史と 効果あり 妻に頼んで 縫ってもらおう」

  「奥深き 文章読んで 極め人 さすがさすがと 顔を浮かべて」

  「お手玉を しながら聞いた わらべ歌 ばあちゃんの顔 思い出される」

  「痴呆気味 俺のリハビリ お手玉を 使って速度 遅らすように」

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