人間牧場

○金次郎銅像を旅のお供に

 このところ私は講演に行く時、エコバッグを提げて行くようになっています。タダでさえ目立つ重そうな木になるカバンに加えて、テント生地でできているエコバックを一方の手で持って行くのですから、両手塞がりといったところで、さすがに傘を差さなければならない雨の日などは、持って行っても躊躇して車の中に置いたりして出かけるのです。
 元々このエコバックは長男息子が仕事に使っていました。どこかで貰ったそうですが息子に頼んで貰ったのです。エコバックだからといって買い物に使うわけでなく、この中に講演で使う材料を入れて持ち運ぶのです。時には私のパトロンとなって名刺に広告を載せているギンー味噌さんからいただいた味噌やドレッシングを入れたりして持ち運んでいますが、最近はこの丈夫なエコバックの中へ二宮金次郎の、小さな銅像を入れ旅のお供に加えているのです。

 先日岐阜県へ講演に出かけた折、大阪から石川県金沢までサンダーバードという特急に乗りました。長い道中だったものですから、列車内での読書にも飽き手持ち無沙汰で、何げなくエコバッグから二宮金次郎の銅像を取り出してまざまざと眺めていると、隣の席に座っていた品のある女性から、「まあお珍しいものをお持ちですね」と「お」付きの言葉をかけられました。それからは二宮金次郎について話が弾み、すっかりお友だちとなり、東京暮らしのこの女性と名刺交換をして、手紙やメールのやり取りを今もしているのですから、旅は道連れ世は情けでしょうか。内緒の話ですがこの女性は著名な方で、近々松山へやって来たついでに人間牧場を訪ねる予定だそうで、私も楽しみにしています。

 すっかり話が横道にそれましたがこの二宮金次郎の銅像は、前にもブログで紹介した通り、私が会長をしている公友会の昨年の総会に出席した、愛媛大学名誉教授の讃岐幸治先生にいただいたものなのです。どこで手に入れたはさておき、昨年まで私が塾長を務めている年輪塾のテーマが二宮尊徳だったし、公開セミナーで二宮尊徳七代目の子孫中桐万里子さんと出会ったりして、私の講演のレパートリーに尊徳の話が加わったためのお供なのです。
 この銅像は高々40センチ程度の小さな銅像ながら、頭脳が詰まっているのか中々重くて、歩く距離が長い時はずっしり肩に重さがのしかかるのですが、木のカバンとのバランスもよく持ち歩いているのです。妻は「お父さんそんな重いものを持つと疲れるので止めた方がいい」と再三注意をされますが、講演に使う道具なので別に気にもせず持ち歩いています。

 実はこの二宮金次郎の銅像が手に持っている本には、中国の古書「大学」の一節は掘り込んでなく白紙なのです。でも長年の学習で、二宮金次郎が読んでいる「大学」の一節は丸暗記して言えるので何の支障もないものの、大阪梅田の古本屋で買い求めた古い「大学」も一緒に持ち歩いています。
 日本海側を走るサンダーバードの車内で知り合った東京の女性と同じように、二宮金次郎の銅像が取り持つ縁がどんどん増える事を願っています。

  「金次郎 重い銅像 持ち歩く 肩が凝るけど これぞ凝り性」

  「金次郎 取り持つ縁で 友だちに これもリアルと 陰徳を説く」

  「金次郎 今日はあちら 明日こちら エコのバックに 入れられ旅を」

  「金次郎 今の俺には ぴったりと 辻説法の 一つに加え」 

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