〇食べごろになった干し柿
10年前から体の都合で酒を飲まなくなったせいでしょうか、私は最近果物を食べる機会が多くなってきました。勿論私の住んでいる四国愛媛県伊予市双海町は、瀬戸内海に面した温暖な気候なので、みかん類は言うに及ばず年中果物が採れるのです。私は毎朝リンキャベと称してリンゴを半個ずつ食べますが、最近は友人からカキやリンゴやキューイフルーツ、みかん類が沢山届き、自宅で採れたみかんと共に、食べても食べても減らないのです。そんなこともあってお菓子類、肉類は殆んど食べないものの果物は大好物なので、糖分の摂取量が多いのではと気にしながら毎日美味しく食べているのです。
先日愛媛新聞社に勤める浅野さんから干し柿用の渋柿が沢山届きました。私は干し柿も大好きなので早速同居している息子嫁と二人で干し柿作りに挑戦しました。皮剥き専用のピューレという道具で息子嫁は器用に、綺麗に80個もの渋柿の皮を剥いてくれました。剥いた渋柿に熱湯をかけて殺菌をしました。剥いた皮は干して漬物用に使う予定です。
そこからは私の出番で、用意したビニールの紐にヘタの部分にある小枝をくぐらせて、1本10個程度の暖簾を8本作り、外の洗濯物干し場の物干し竿に順番に吊るしました。暖簾は結構重いので物干し竿のつり紐近くに集中して吊るしました。
運よく干し柿を干してから少し温度が下がった寒波と季節風が吹いて、柿色の干し柿は1週間ほどで少し黒ずんできました。10日以上経つと更に色は黒ずんできたので、よく手を洗い手袋をして柿の表面を揉みました。柿を揉むとまだ硬い柿の内部の種等に手の感触が行き当たりますが、表面を破らないよう注意をしながら全ての柿を揉みました。
暇を見つけてこの作業を3回ばかりした昨日、出張で2~3日家を空けていた外出先から帰って洗濯干し場を見ると、飴色の柔らかい干し柿が目に付きました。一個失敬して食べてみましたが、渋も完全に抜けて美味しい干し柿が出来上がりました。
息子嫁にも勧めましたが、とても美味しくてほっぺたが落ちそうでした。昨日から毎朝一個ずつ朝食に食べようと思って食べていますが、甘いものとてそんなになかった子どものころ、甘干しといっていた干し柿を、まだ渋いのに母に内緒で食べ、大目玉を食らったほろ苦い思い出が蘇りました。孫たちはこれが食べられることすら知らないのです。
今年の干し柿は息子嫁の皮の剥き方が良かったのか、私の揉む時期が良かったのか、いや浅野さんが送ってくれた渋柿の品種が良かったのか、満足の行く最高の出来となりました。毎日毎朝一つ二つと減っていくのでしょうが、干し柿の幾つかは正月飾りのお供え物として使う予定です。
今年も残り少なくなり、あと半月もすればお正月です。これから何かと慌しい日々が続きますが、ビタミン豊富な干し柿を沢山食べて、風邪を引かないようにしながら正月を迎えたいと思っています。
「干し柿を 盗んで食べた 幼なころ 渋い味して 顔をゆがめた」
「息子嫁 私と二人 合作で 干し柿今年 純度も高く」
「干し柿は ビタミン類の 王様と 風邪の妙薬 言い訳食べる」
「正月に 神に供える 前失敬し 味見をしたが これなら神も」