○周防大島東和町を訪ねる
私が代表運営委員を務めるえひめ地域づくり研究会議では毎年この時期に、県外視察研修を行っています。豊予海峡地域づくり交流事業の助成を受けて行う事業なので、しっかりとした学習プログラムが組まれていて、今年は山口県周防大島・柳井を目的地に17名が参加しました。
出発点となる三津浜港に集合した一行は周防大島フェリーで伊保田港向かいました。船中では出向するやいなや早速、宮本常一を語る愛媛の会の浜田久男さんの話を客室で聞きました。他の船客もいるため大きな声では出せませんが、船のエンジン音が聞こえるためまるでかぶりつきのような形で講義を受けました。浜田さんは愛媛では豊田さんと並んで宮本常一研究の第一人者らしく、様々な宮本常一に関する書籍類を目の前に並べ、まるでフーテンの寅さんのような出で立ちで講義をしていました。昨年人間牧場の年輪塾である部分の話は聞いていましたが、その後様々な資料が追加されてバージョンアップした話に皆さん熱心に耳を傾けていました。
(読書家浜田さんは、宮本常一の諸世紀を並べ船内で熱弁をふるいました)
伊保田の港までは約1時間で、浜田さんの話を聞いていたためあっという間に到着しました。伊保田の港は何度も訪れているだけに懐かしい雰囲気でした。あらかじめチャーター手配がされていた久観交通のバスが迎えに来ていて、昼食講和会場となっている竜崎温泉へ向かいました。温浴施設となっているためそれなりの人が訪れ温泉や買い物を楽しんでいました。私たちは二階に通され食事をした後「周防大島の島おこし」という話を、島スタイル編集部大野圭司さんの話を聞きました。30過ぎの若い人でしたが、プレゼンテーションの仕方は一流で、今回は若い人が参加していたため、かなりのインパクトがあったようでした。特に大島高専での起業家養成塾島スクエアは中々面白い内容で、注目をして聞きました。
(温浴施設の中にある特産に品売り場には、ミカン王国愛媛もまねのできない様々な商品が開発されていました。みかん鍋?、みかん饅頭など面白いものがありました)
(大野さんの夢語り)
私も仕事がら色々な島を訪ねてきましたが、島を舞台に力強く生きている人は沢山目にしてきましたが、起業家を育てるという大きな夢に向かって努力している姿には熱いものを感じました。
その後私たちのために日程を合わせてもらった周防大島郷土大学の開かれる周防大島文化センターへ行きました。ここは一昨年宮本常一生誕百年の記念事業の際に尋ねた場所なのです。この日は政策研究大学院教授の小松正之先生の「日本と周防大島の水産業再生」という話を拝聴しました。先生は元水産庁職員として日本水産のために働いてきた人なので、水産をグローバルな視点でとらえ、ローカルな行動を起こすよう促されました。この日は水産関係者も多くいて、質問も活発でした。先生を囲んだ懇親会には私たち愛媛が大勢を占めていたため、いきなり新山さんから乾杯の音頭のご指名がいきなりあり驚いてしまいました。会場には道の駅とうわを作るとき何度も教えを請いにこられた現周防大島町総務課長の中野さんの姿もあってこれまた2度びっくりの懐かしい再会となりました。
宮本常一という文化人を輩出したこの地は、宮本常一の影響もあってかなり文化度が高く、郷土大学では数日前にも立松和平さんが見えられるなど活発な活動が展開されているようで、見習わなければならないことが沢山ありました。多分この視察研修は私にとっても参加した皆さんにとっても幾つかのヒントがあったのではないかと思いました。
「みかん鍋? 思わず噴き出し さてお味 一度は食べて みたいものです」
「高齢化 進む島でも 文化度は 日本一だと 納得しつつ」
「若者が 夢を一気に 機関銃 あんな時代が 俺にもあった」
「この地にも 夕日は沈む 対岸の ふるさと今は どんな色して」