○旅先での誕生日
「お父さんは自分の誕生日になるといつも家にいない」と少し不満の声で、旅先福井県へ妻から携帯電話が入ってきました。それもそのはず誕生日である昨日10月3日は福井県公民館連合会の招きで、公民館の県大会に対談を頼まれ移動日も含めて2日間出かけていたのです。この歳になって今更誕生日など「冥土の旅の一里塚目出度くもあり目出度くもなし」といったところなのですが、それでも色々な方々からお祝いのメッセージをいただき恐縮ながらもただただ嬉しい限りです。
昨日は前日の予定もあって朝一番の大阪発サンダーバードで福井県入りしました。一便早く着いたため相手を右往左往させましたが、勝山市民会館で午後から開かれた対談の席上、いきなり司会を務めた福井県公連副会長の松井由紀子さんが私に壇上で誕生日の花束プレゼントをしてくれました。県内各地から300人もの参加者が集まっているその前で何の前触れもなくプレゼントされ、私は少し舞い上がってしまい、2時間に及び対談もどことなく歯車が狂ったようなかんじでした。でも対談は仕事だからと踏ん張りそれなりの話をさせてもらいました。
そもそも今回の福井県公連からの招へいは私が月刊公民館という雑誌の巻頭言ともいうべき「とびら」に、「公民館と地域との関係を問い直そう」という記事を書いたことに起因しています。これは11月13日から3日間、愛媛県宇和島市を主会場に行う地域づくり団体全国研修交流会への参加を促すため、実行委員長の私が事務局より依頼されて書いたものなのですが、この記事が思わぬ反響を呼んで、全国のあちらこちらから声がかかるようになったのです。その記事は少し長くなりますがここで紹介しておきます。
「駆け出しの若いころ、公民館に13年間勤めていた私にとって、人生を生きる上での土台となり、道しるべとなるべき知識と知恵を学ばせてもらった公民館は大恩人である。ゆえに行政に身を置きながら、どちらかというと住民の側に軸足を置いた住民運動や活動を行いそれなりの成果を得たが、今公民館は市町村合併や指定管理者制度などに翻弄され、住民自治の牙城としての責め(攻め)や守りが難しくなっているように思えてならない。
公民館は今までも今も、多分これからも「地域づくりの拠点」として重要な役割を担っていくことは論を待たないが、公民館の終局の目標は「住民の自治能力の向上」であるなら、地域自立という視点で地域づくりにもっと積極的に取り組むべきであろう。
私は夕日、花、ホタルなどをモチーフにアメニティの地域づくりに取り組んだ。夕焼けコンサートから始まった若者による文化イベントはオンリーワンながら日本一の夕日の町をつくり、年間55万人観光客が訪れるようになったし、女性の手で始まった花づくりは町のイメージを一変させた。また、地域の人たちの手で始まったホタル保護活動はグルーンツーリズムへと発展している。これは公民館の4つの事業といわれる、①問題を提起する事業、②学びの援助事業、③学びの組織化事業、④学びの還元事業(ボランティア活動)をサイクル化したからこそなし得た成果なのである。
こうしてみると、①始める活動、②つづける活動、③高める活動、④止める活動など、公民館がかかわれる地域課題は無尽蔵にあるか、産業も福祉も環境も、ましてや文化や人づくりまでも公民館は門外としてそれらに背を向けているのである。公民館は地域活性化の総合商社であるべきなのだが・・・・。
今年の11月13日から15日までの3日間、愛媛県宇和島市を主会場に『地域づくり団体全国研修交流会』という『地域づくり』をテーマにした全国大会が予定されている。愛媛県内の13市町で15分科会が開催されるが、公民館と地域との関係を問い直す絶好の機会ととらえたい」
私の福井入りを知った越前市の富阪妙子公民館主事さんから熱いメールが入り、是非前後の時間を取って講演して欲しいとのご依頼でしたが、前の日も明くる日もあいにく予定が詰まっていて、結局県大会終了の夜ダブルヘッターと相成ったのです。
この会場でも思わぬハプニングが起こりました。後援会の冒頭私の誕生日を知った富阪さんのご配慮でバーズデーケーキが用意され、皆さんの歌声で祝福されたのです。そして講演終了後はロビーにてケーキを切ってみんなでワイワイ、ガヤガヤのお茶会となりました。64回目の誕生日は思わぬ感激に浸りました。昨日の早朝孫朋樹君から電話でのお祝いメッセージ、妻からの電話連絡によれば緒方さんと西岡さんという二人の女性が留守のわが家に今年も大きな花束を届けてくれているとのこと、またハガキや祝電、さらには家へ帰ってメールを開くと様々な方々から暖かいメッセージが届いていました。ああ嬉しきかなわが友、そしてわが人生です。私も64歳になりました。思いを込めてこれからも健康に留意して進化の道をたどる決意です。皆さんありがとう。
「旅先で 誕生祝う セレモニー 穴があったら 入りたい心境」
「花などの 似合わぬ俺に 花束が 頭かきつつ 素直受け取る」
「何気なく 書いたつもりの 原稿が 読まれ講演 世の中不思議」
「誕生日 祝って孫が 電話くれ 旅先列車 ほのぼの進む」