○懐かしい人に会いました(4/20・家地地区)
デジカメの写真を整理していたら7月11日の日付の写真の中に忘れてた3枚の写真を見つけました。それは4回目の旧西土佐村行きの時の出来事です。3回目の会場で一人の女性に会いました。見覚えのある顔の女性が「若松さん覚えていますか」と唐突にいうのです。不特定多数に講演する私としては参加者の顔を全て覚えるのは困難なことなのですが、そう言われて心の動揺を覚えました。確かに覚えている顔なのに名前が出てこないのです。相手の女性は「JAの講演でお世話になった坂井伸美といいます」と告げ、やっとの思いで数年前の出来事にたどり着きました。彼女がJAの生活課に務めていた頃女性部の研修会に講演で招かれ知り合っていたのです。彼女からその後JAを辞めて国道沿いに小さな喫茶店を開いているので時間があった時立ち寄って欲しい旨の話を聞いたのですが、立ち話だったので場所を聞くことも出来ずに講演終了後暗い国道を走っていました。突然行く時気付かなかった話しに出てきた喫茶店が見えました。車を駐車場に入れると彼女は既にお店の中に帰っていたようでしたが、突然の私の来訪に驚いた様子で、落としていた電気のスイッチを入れて店を見せてくれました。先を急ぐ夜のことなのでその日はあいさつ程度で再会を約束し分かれました。
7月17日の講演会に行く途中少し時間があるのでお茶でもと思い、「彩花」という看板に誘われてその喫茶店に立ち寄りました。
店の中では中年夫婦がコーヒーを飲みながら彼女と話をしていましたが、コーヒーを飲めない私はフラッペを注文しました。居合わせた電話工事を営むご主人も交えお店やその周辺を案内してもらいました。退職金の全てをつぎ込んでの転職による起業はかなり勇気がいったそうですが、長年の夢をかなえた安堵感でしょうか彼女の顔は生き生きと輝いて見えました。同じ境遇でJA職員から転職しお店を持った私の妹の話をしながら出されたフラッペで喉を潤し、四方山話に花を咲かせました。
裏庭に出て工事現場に捨てられていたものを拾って育てている犬とツーショット、彼女が坂井伸美さんです。一見何処にでもありそうは住宅風で外から見ると喫茶店とは思いませんが、中に入ると素敵な木の香りのする日本風な造りになっていました。
裏には四万十の流れがあるのですが、残念ながら竹やぶが茂ってその全貌は見れないのです。でもその分瀬音に心情をかきたてられいい雰囲気でした。店の名前「彩花」からは程遠いようでしたが、そこここに花や木を植えたりしながら花園の中の喫茶店を目指しているようでした。夢から現実へ彼女の挑戦は投資を伴っているだけに後戻りは出来ない厳しさです。でもそんな生き方が出来る彼女は凄いと思いつつお店を後にしました。頑張って欲しいものです。
「幾らですか」と清算して出ようとすると幾ら出そうとしてもお金を受け取ってくれませんでした。「氷くらいでお金はいただけません。いつでも立ち寄ってください」と優しい言葉が帰って来ました。「損をして得をとる」借りが出来たと思いつつ、次の機会に委ねました。
「妹と 同じ境遇 重ねつつ 赤いフラッペ 喉を潤す」
「夢追いし ここにもひとり 馬鹿がいる 苦あれば楽あり 繁盛祈る」
「捨て犬を 拾い育てる 優しさに 思わず触れる 旅の途中で」
「四万十を 見せることより 隠すこと 反対ですが 逆も真なり」