○よく似た海沿いの風景
愛媛県の南西に位置する地域は訪れる度に何かよく似た風景だと何時も思います。八幡浜の真穴、西予市三瓶や明浜、宇和島市の吉田、白浜、津島など、急峻な地形にしがみつくように道や家があり、前は海といった光景はリアス式海岸ゆえに似ているのは当然かもしれません。道の狭さも暮らしている人にとっては余り気にならないのかもしれませんが、たまに訪ねるとまさに運転手泣かせの難所なのです。
昨日姪が嫁いでいる西予市三瓶町周木へ出産祝いに妻と孫の3人で出かけました。田舎者のくせに妻は曲がりくねった道で対向車が来る度に「車が来よる」とか「危ない」とかいちいちうるさく言うのです。その声を聞きながら自分の生まれ育った地域も今でこそ二車線の海岸国道が走っているものの、昔はこんな状態だったことを思い出しました。
カーナビのお陰で迷うことなく到着し無事目的を果したので、帰りは別の道を帰ることとなって真穴、真網代、合田の道を選びましたが、天皇賞を受賞した日本一のみかん産地といいながら、やはりここもよく似た風景の街でした。八幡浜市出身の妻は子どもの頃に訪ねた真穴周辺を感慨深げに眺めていましたが、ねずみ島付近で車を止め、普通は沖に浮かぶ島も干潮で陸続きになっていたため海岸を歩いて島に渡ってみました。孫は最近買ってもらった麦藁帽子が気に入って少しおすましな顔で写真に収まりました。
海岸では親子連れが泳いでいたり若いお母さんが潮干狩りを楽しんでいました。梅雨明け間近な海岸はムンムンの暑さで汗が噴出しました。島へ渡る海岸できれいなアワビの貝殻を見つけました。孫は「お父さんのお土産」といって拾い上げて持ち帰りました。
海岸は宇和海特有の青石海岸で海も透き通るようにきれいで、沖合いを別府~八幡浜航路のフェリーが長閑に走っていました。くじら病院の石の風車や諏訪崎半島を横目で見ながら八幡浜の元の道に無事戻り、孫と私のリクエストに応えて、大洲の温泉でひと風呂浴びて食事をし、暗闇の中を瀬戸内海側に出ると、わが双海町の下灘みなと祭りの花火が威勢良く上がっていました。寝ていた孫を起こし路側帯に車を止めにわか設えの花火見学と相成りました。思えばこの下灘みなと祭りも私があらん知恵を出して魚市場を開放した祭りに育て上げました。今は後輩たちや漁協、それに地域の人が一丸となって祭りを支えてくれています。花火を見ていると朝早くから夜遅くまで夢中になって祭りを運営した昔が懐かしく思い出されました。
「花火見て 祭りの記憶が 甦る 夏は今年も 同じ暑さに」
「海沿いの 家並みの向こう また海が 見え隠れする のどけき景色」
「この島で 泳いだ昔を 懐かしむ 妻のふるさと 海は長閑けき」
「麦わら帽 被った孫の 得意顔 夏の日差しが 強く照りつけ」