〇えっ、これマンモスの象牙?
先日元漁師をしていた93歳の叔父の家を訪ねた折、無造作に庭の隅に置いているガラクタの中に、何やら牡蠣殻のついた石のようなものを見つけました。聞けば操業中網にかかった物らしいのですが、本人は最近終活や断捨離に凝っていて、こんなガラクタは捨てるのだというのです。
「捨てるのならください」と言うと、「こんなもの何にする?」と言われたので、「磨いて親父の造った海の資料館に展示する」と返すと、「どうぞどうぞ」と快くくれました。早速持ち帰り、丹念に水洗いして陰干ししました。素人である私の鑑定なので当てにはできませんが、この石にも似た黒い物体はどうやらマンモスの象牙?ではないかと思われるのです。
わが家の海の資料館には既に親父が漁師をしていた頃、網にかかって引き揚げられたマンモスの象牙や足の骨、臼歯などが展示されていて、今回いただいた物体もどうやらその類のようなのです。マンモスの体の一部が何故瀬戸内海で見つかるのか、これも素人ながらかつて地殻変動が起きて瀬戸内海ができるまで四国は大陸と陸続きだっようで、その頃生息していたマンモスの骨が同じような場所から沢山網にかかって揚がってくるのです。
考古学的にはとても貴重な千金に値すると思われる遺物ですが、知らない漁師さんにとってはまさに猫に小判と言ったところです。瀬戸内海はかつて交易船が行き交った塩の道でもあり、船が沈没したり、様々な戦の遺物も沈んでいて、一度瀬戸内海の海水を全て排水して調べると、とんでもないお宝があるのかも知れません。そんなことは考えても出来ないゆえに、またロマンを掻き立てるのです。今回は偶然にも貴重でラッキーな拾得物を手に入れることができました。
「元漁師 倉庫の前に 無造作に 捨てるつもりで 置いてた遺物」
「これおくれ 何にするのと 不思議がる 捨てるつもりと 言っていただく」
「この遺物 素人ながら 鑑定団 どうやらマンモス 象牙のようだ」
「小躍りし 丁寧洗い 磨きかけ 早速展示 やったやったぞ」