〇粗食と美食
私は戦後の貧しい時代、そして貧しい家庭で育ちました。一番の楽しみは風邪を引いた時で、風邪を引いて寝込むと学校が休め、日ごろは殆ど口にすることのなかったバナナを買って優しくして貰うので、「風邪を引きたい」なんて馬鹿なことを願ったりしたものですが、元来丈夫に産み育ててくれた両親のお陰で、少々青鼻を垂らしていても、風邪など殆ど引かなかったのです。
そんな少年時代の影響でしょうか、麦ご飯やサツマイモなど今では考えられないような粗食に耐えたお陰で、今でも嗜好が野菜中心の粗食型故なるか、太ることもなく健康な体形を維持しています。今思えば「ご飯とパンはどちらがいいか?」とか、「野菜と肉はどちらがいいか?」など悩む必要はなく、「何を食べるか」よりも「何が食べられるか」が問題だったのです。
今日本人はなんだかんだと言いながら平和な世の中を反映して、美食の中で過ごしています。デパートやスーパーの食品売り場へ行けば、買って持ち帰り食卓に並べさえすればすぐに食べれる総菜が幾らでも手に入り、町の中には外食を楽しむお店が沢山あって、滅多に口にすることのなかった握り鮨でさえ、目の前をグルグル回ってお金さえ出せば、好きなものを好きなだけ食べることができるのですから、まるで夢の中の世界に生きているようです。
しかし脂分・糖分・塩分過多で味付けされた美食には落とし穴もあって、知らず知らずのうちに体内に変化が起こり、運動不足も重なって健康を害した人もかなり増えているようです。昔はお金持ちの代名詞のように言われていた糖尿病などは、美食だけが原因ではないものの、国民病ともいわれるほど広がっています。何故粗食が体に良いのか、何の疑いもなく食べていた健康の源である食事の在り方を今一度見直してみたいものです。
「粗食しか 食べられなかった 幼少期 お陰で丈夫 長持ち体質」
「近頃は 金さえ出せば 欲しい物 何でも揃う 便利な世の中」
「粗食から 美食なる程 増えて行く 病気の原因 何故か?考え」
「今朝何を? 食べたか忘れる お粗末さ もっと食事に 思いを寄せて」