〇季節を彩る花々に心癒されて
昨日は台風4号の影響で朝から南西の風が吹き、梅雨特有の蒸し暑い一日でした。会う人会う人から「蒸し暑いねえ」と幻滅気味の言葉が飛び交っていましたが、家の周囲に目をやると、わが家は自然豊かな田舎ゆえ、家の周囲には沢山の野の花や花木が咲き乱れているのです。今最も多く咲いているのは、よく薬草として使うジュウヤクの花で、手に付着すると臭い香りのする草ながら、「見て見て」といわんばかりに今が盛りと、可憐な花を咲かせているのです。野の花は一見目立ちませんが、植えることもなく、水をやることもなく、自然サイクルの中で生えて咲くゆえ、どこか清楚で見ていても飽きない不思議な魅力があるのです。
ふと目をやると、いつの間にか庭の隅にくちなしの花が咲いていました。昔島根県大根島から籠背負子を背負って売りに来た、行商人のおばさんから買った小さな苗を、庭の隅に植え込みましたが、いつの間にか大きくなって、かなりの数の捩れたつぼみをつけていて、花はまだ走り花のようでした。クチナシの花はとても匂いがよく、そっと鼻を花に近づけると、何ともいえない香りがして癒された気分になります。クチナシは花が終わると黄色い実を生らせますが、この実は天然染料として料理によく使うため、わが家では重宝しています。お正月のおせちに煮る栗きんとんや沢庵の漬け込み、かき餅の色付けにと妻がよく使うのです。
渡哲也がが歌って大ヒットした「くちなしの花」という歌を口ずさむ私は、もう古いタイプの人間だと、納得しながらAmのハーモニカでこの歌を吹いて、一人余韻に浸りました。
家の裏には鉢植えのアジサイが咲き始めました。退職時に友人からプレゼントされた鉢植えなので、枯らさないようこの8年大切の育ててきましたが、今年も可憐な花を咲かせて楽しませてくれています。アジサイの花の一鉢を玄関先へ運び飾ってみました。仕事から帰った妻が「まあ綺麗ねえ」と誉めてくれましたが、折角咲いたアジサイの花ですから、せいぜい楽しみたいと思っています。
道端の草花にも目をやり愛でる、ユックリズムな余裕と優しい心を持って日々を暮らしたいと、常々思っていますが、日々の忙しさや目の前の事象に心を奪われ、現実は中々上手く行かないものです。今朝は朝から外はかなり激しい雨が降っています。水不足もこれで幾分解消されそうですが、雨音を静かな心で聞くのも久しぶりです。「ああ私は今日も生きている」、そんな清々しい朝でした。
「気がつけば 家の裏には 沢山の ジュウヤクの花 綺麗に咲きて」
「クチナシの 白い花咲く 裏庭で 鼻近づけて 花匂い嗅ぐ」
「退職時 友人くれた アジサイを 枯らすことなく 大事に育て」
「花綺麗 雨音さえも 感じ取る 朝を迎えて のんびり過ごす」