〇おにぎりとおむすび
今年も田植えの季節がやって来ました。私が子どものころの田植えは6月と決っていました。農家では少し早目に苗を立て、雨の中でその苗を抜いて運び、代掻きの終った田んぼに腰を丸めながら棒縄定規に沿って植える作業は、とても大変だったようですが、今は苗は苗屋に頼み、牛がやっていた代掻きは耕運機が、そして一番厄介だった田植えは田植え機でスイスイ楽々といった感じです。
田植えは年々早まり、早い所では4月の上旬から始まり今が最盛期のようで、農家事情を知らない私などは、「そんなに焦らずとも?」と思ったりするのです。
さて今頃植えた稲は8月のお盆が過ぎる頃には早くも稲刈りされ、新米として世の中に登場するのですが、それまでは新米なのか古米なのか分らないお米を食べなければなりません。わが家は孫たちのためにおにぎりが度々登場します。お弁当は勿論のこと、孫たちが集まると、事あるごとに色々なおにぎりが作られ、食卓をにぎわせるのですが、先日そのおにぎりを巡ってホットな議論をしました。私たちは子ども頃から「おにぎり」と言ってきましたが、今は「おむすび」とも言います。辞書に「おにぎりは握り飯を丁寧に言う語」、「おむすびは握り飯を丁寧に言う語」と書かれていました。ということはおにぎりもおむすびも区別がなく同義語だと言うことのようでした。
日本人はおにぎりが大好きで、ある調査によると日本人は年間1人当たり3659円ものお金を出し、コンビニなどでおにぎりを買って食べるそうです。東京はダントツトップで4771円、これを1個120円で計算すると東京都民は押しなべて、年間40個ものおにぎりを食べているのですから驚きです。ローソンはおにぎり屋、ファミリーマートは愛情おむすび、サークルKはおむすび道、セブンイレブンの説明だと海苔がパリパリタイプがおにぎり、そうでないものがおむすびと説明していますが、これもコンビニの思いつきといったところで、表現はまちまちのようです。ちなみに東日本はおむすび、西日本はおにぎりと呼ぶことが多いそうで、なるほどと納得しました。
昔母ちゃんがかまどでご飯を炊いた時、おこげに塩をつけておにぎりをしてくれて食べた味は忘れることはできませんし、梅干しを入れて握ってくれた握り飯を弁当にして遠足に出かけた思い出も、今は亡き母の思い出とダブって懐かしく思い出されるのです。しかし今はそのおにぎりでさえ、コンビニで買うものになってしまっているのです。
おにぎりには夢があって、おにぎりの中に梅や塩昆布、おかか、鮭などを入れて握りますが、分らぬまま食べた時中から出てくる具材の当たり外れも楽しみです。鯛めしや寿司飯、ゆかり飯、炊き込みご飯の握り飯も格別な味です。いやはや朝だというのに握り飯が食べたくなってきました。
「おにぎりは 日本の文化 美味しいね 食べつつ思う 母の思い出」
「焦げ飯を 塩つけ握った おにぎりは おかずなくても 最高贅沢」
「おにぎりと 味噌汁沢庵 卵焼き 目刺し梅干し お茶さえあれば」
「梅入りと 思って食べた おにぎりの 中から昆布が 出て来てはずれ」