人間牧場

 

アルコールゼロのビール
アルコールゼロのビール

〇アルコールゼロのビールを飲む

 あれ程1年365日のべつまくなく飲んでいたお酒を、胆のう摘出手術後の体調が思わしくなく、体重が一ヶ月で13キロ激減したため、禁酒の誓いを立てて止めることにしました。酒飲みなら誰もが一度や二度は経験するものの、中々守れないのが禁酒の誓いですから、誓いを立てた私自身も私の周りの人も、「そのうち体調が戻ったらまた酒を飲むだろう」と思っていました。ところが私の禁酒の誓いは1年・3年・5年・10年と続き、何と何と13年にも及んで、私の体内からアルコールという成分は完全に消えてしまったのです。そのお陰かどうかは分りませんが、多い時には68キロもあった体重も、手術後減った55キロを維持し続けて、まあそれなりの健康な体調を維持し続けているのです。

 私がアルコールを断った頃は、テレビを見れば大好きだったビールの宣伝がやたらと目に付き、飲み友達からは今でも呑み会の誘いがありますが、一次会・二次会ともウーロン茶一辺倒の付き合いを続けているのですから、有森裕子さん流に言えば、「自分で自分を誉めてやりたい」心境になるのです。
 昨夜9時過ぎ、一緒にテレビを見ていた妻が、「お父さんビールを飲まない!」と、冷蔵庫から500mmlの冷えた缶ビールを運んできました。「えっ?」と一瞬思いましたが、何とこのビールは「アルコールゼロ」のビールでした。かつて私がビールを飲む時愛用していた、細身のグラスに並々と注いだビールは、色といい泡といい本物と見まがうほど、まったく本物のビール一緒で、13年も前の記憶に残るビールの味でした。

 わが家では息子が時々缶ビールを一本程度晩酌に飲むくらいで、時折帰って来る息子たちも、車を運転することを理由に、酒類にはまったく手を出そうとしませんし、年に1~2度訪ねて来る娘婿が缶ビールを飲む程度で、日本酒の晩酌を毎晩欠かさない隠居暮らしの親父を除けば、酒には縁のない家庭となっているのです。アルコールゼロのビールは、妻がそんな娘婿や息子たちのために、買い置きしたもののようでしたが、飲んだ印象は本物のビールとまったく同じで、飲んだ妻も私も本当に酔ったような気分になって、何時になく饒舌になったから不思議です。
 私は多分、もう死ぬまでアルコールを飲み始めることはないでしょうが、惜しむらくはアルコールを飲まなくなったため淡白になった、友人との付き合いが減ったことです。「酒を飲まないとまちづくりは語れない」と酒を飲む理由にして豪語していた私が、「酒を生ないこと語れないよううじゃまちづくりではない」などと身勝手ことを言いながら、今夕も誘われている花見の宴を、お茶で過ごそうと思っています。

  「酒のない 国へ行きたや 二日酔い などと戯言 言ってた昔」

  「酒止めて 13年の 春が来た 私の体内 アルコールゼロ」

  「酒飲まにゃ 語れないのは おかしいと 今では逆の 理論を吐いて」

  「アルコール ゼロと書かれた ビール飲む 妻と二人で 酔った気分に」

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