〇春の花を楽しむ
春浅いこの時期は、冬の名残り花と春早咲き花が同居して、多くの花々を楽しめる最もいい時期なのかも知れません。私たち現代人の暮らしは、食べ物にしても衣類にしても、何故か先取りをしがちです。夏の食べ物のはずのスイカが店頭に並び、初がつおは5月なのに、かつおは年中食べられる有様で、何が旬なのか、何が俳句の季語なのかまったく分らないのです。しかしそれは社会の現象であって、それらに惑わされずに、自分がその気になって身の回りを見渡せば、多少の異変はあっても自然は季節とともに動いていることに気がつき、その気になればそれらを存分に楽しむことができるのです。
昨日人間牧場へ作業をするため出かけました。山道を通ると昨日の木々を揺すった、春の嵐で落ちたと思われる椿の花が、細い山道のあたり一面に落ちていました。私の車とすれ違った上から下りて来た私の同級生は、そのことにまったく気付かないのか、椿の花を蹴散らせてクラクションあいさつをして下って行きました。侘び寂も知らない私ですが、それでも車を路側帯に止めて、落ちた椿の花をいとおしく愛でました。椿は花が首から落ちるので、縁起が悪いと言う人もいますが決してそうではなく、花の落ちた道を歩くのも風情があっていいものです。この時期私の住んでいる地域の野山には、ヤブツバキが今を盛りとして咲いています。人知れず咲き、人知れず散るヤブツバキを愛でるのもまた一趣です。
人間牧場は梅の花が終わり、梅に変わってスモモの真っ白い花が満開に咲き誇っていました。いやあ思わず見とれてしまうほどの見事さで、家族に見せ、ブログにアップするため、早速持参したデジカメでその全容を写真に収めました。この花は意外と早く散るので、人間牧場を訪れた人しか見れませんが、もし花を見たい人はどうぞご自由にお越し下さい。
ふと気がつくと、私が代表を務める21世紀えひめニューフロンティアグループが、活動の一環として3年前に始めた千本桜の森づくり事業の標準木として植えた、枝垂桜が花を付け、花見ができる程ではありませんが、可憐な花を咲かせていました。落ち葉を集め腐葉土を作るために作っている、囲い周辺には綺麗な黄色い菜の花も咲いて、人間牧場はただ今この上ない桃源郷といったところです。
風に誘われ、花に誘われ、のんびりゆっくり春を楽しむのも風流です。冬の寒さをしのいだ種蜂も、花々の蜜を集めるため元気に飛び始めました。 ♭春が来た 春が来た どこに来た 山に来た 里に来た 野にも来た♭ 水平線の家の書棚に置いているハーモニカを取り出し、背もたれ椅子をウッドデッキに出して寝そべり、「春が来た」という歌を思いつくまま吹きました。 すると、お彼岸で墓参りに来た近所の人が、「長閑でいいですね」と声を掛けてくれました。そして「一曲リクエストしていいですか」と私に尋ね、「みかんの花咲く丘」を吹いて欲しいと頼まれました。「下手糞ですが」と前置きし吹くと、とても喜んでくれました。田舎に長閑な春がやって来ました。
「春が来た 野にも山に 花が咲き 陽気誘われ ハーモニカ吹く」
「あと何回 春の花々 見れるかな? 思えば愛し どの花見ても」
「山道に 落ちし椿の 花見つけ 踏まないように そろりそろりと」
「花を見て ああ綺麗だと 感動する 優しい心 俺の取り得と」