○バナナが品薄
最近はメタボリック症候群という肥満が何かと話題になって、様々なダイエットがブームを呼んでいます。新聞や雑誌には「私はこうして痩せた」とか、「こんなものを食べて痩せました」と体験談が載るし、テレビも毎日のようにダイエットに関する話題を面白おかしく紹介しているのです。ダイエットといえば食べない苦痛が通り相場なのですが、今の社会は「苦労をせず食べながら楽しく痩せられる」がテーマで、「そんなに簡単に痩せられるのだったら」と口車や宣伝に飛びつきダイエットに挑戦したものの、結局は体を壊して元の木阿弥といった話をよく聞くのです。
先日泉ピン子さんのダイエットの番組を見ました。一念発起して10キロ以上も痩せた泉ピン子さんの涙ぐましい努力に敬意を払いながら、「太るのは容易いが痩せるのは難しい」ということを実感しました。泉さんが取り組んだのはメモダイエットのようで食べた物をすべて記録することから始めたようです。メモをするうちに食べるものの内容、食べる物のバランスとカロリー量、食べる時間などが明らかになり、太った原因が分かるのです。そして太らない食べ方の原則を発見して、その方法を守れば結構楽しい食事もできるようです。
私のように昭和19年に生まれ小さい頃は食べるものにも事欠く貧乏暮しで、特に甘いものなど日常的には殆ど口にしませんでした。しかし今考えてみるとそうした質素な日本食は理にかなったダイエットで健康的な食事だったのです。加えて歩くことしか移動手段がなかったためとにかく歩いたことも健康には欠かせない運動量だったのです。昔は食べたくても食べるものがありませんでした。しかし豊かになった今は食べたくないのに食べるものがたくさんあるのですから皮肉な話です。また人間は便利になって歩くための二本の足を持っているのに、高い車乗って足を退化させているのです。
今世の中で騒いでいて品薄になっているバナナなどは、病気にでもならなければ食べられない贅沢品でした。
昨日妻がどこかのお店でバナナを半房買ってきました。黄色いバナナは食べてみたい食欲をそそるので、滅多に食べませんが、バナナダイエットにあやかって一本食べてみました。こんな味だったのかと久しぶりの食感を楽しみましたが、確かにバナナを食べるとお通じが良いようで、整腸作用や食物繊維が多いのもダイエットに適しているのかも知れません。
何年か前仕事で下関と門司へ行きました。その時ある人がバナナの叩き売りの口上を語ってくれました。面白いと思い自分のメモ帳に書き写していたものが偶然先日机の引き出しから出てきました。
春よ三月春雨に 弥生のお空に 桜散る バナちゃん因縁 聞かそうか
生まれは台湾台中の 阿里山麓の片田舎 現場の娘に見染められ
ポッと色気のさすうちに 国定忠治じゃないけれど
一房二房ともぎ取られ 唐丸籠に詰められて 阿里山麓をあとにして
ガタゴトお汽車に揺すられて 着いた所が 基隆港(キールン) 基隆 台湾一港
基隆港を船出して 金波銀波の波を超え 海原遠き船の旅
艱難辛苦の暁に ようやく着いたが門司港 門司は九州大都会
門司の港で検査され 一等二等とある中で 私のバナちゃん一等よ
門司は九州大都会 中仕の声も勇ましく エンヤラドッコイ 掛け声で
問屋の室に入れられて 夏は氷で冷やされて 冬はタドンで蒸されて
八十何度の高熱で ~後略~
このメモはまだまだ続きますが、若い頃はこの口上をよく覚えて物まねをしましたが、今はもうすっかりそのセリフ口上も忘れてしまいました。バナナが一世を風靡する今、もう一度リバイバルに挑戦したいものです。