○合併後のまちづくり
昨日は私が非常勤講師をしている愛媛大学法文学部総合政策学科のフィールドワークで、学生22人を引率して今治市を訪ねました。1市11町村が広域合併した全国でも希な市の誕生と合併後のまちづくりについて調査研究するための現地学習なのです。全国から集まった学生にとって、また車などの交通手段を持たない学生にとって愛媛県内の町や村を訪ねることはそんなに多い訳ではありません。私のゼミの殆どの学生が今治を訪ねるのは初めてという珍しい集団なのです。
小遣いをアルバイトに頼る貧乏学生たちばかりですから、バスを借りることも出来ず公共交通機関を利用しての、しかも今時鈍行各駅停車の旅は長閑そのもので、松山から今治まで特急だと30分なのに一時間以上もかかってしまいました。でも学生たちは列車の中で聞く乗降客の話もまた貴重な学習なのです。
松山駅発8時19分の列車は一両編成で学生が22人も乗り合わせると席は埋まり、車窓に浮かんでは消える造船所、かわら公園、太陽石油、瀬戸内海などの珍しい物を見つけては、「先生あれは何?」とその都度説明を求めてくるのです。今回の旅はリラックスできるカジュアルで、しかもナップサックを背負っての気楽さでしたので、カバンに忍ばせた「宮本常一」の本を一冊読破しようと思ったのですがとんだ誤算でした。
市役所へは旧友地域振興課長の矢野さんを通じて企画課の森係長さんを窓口にして公文書や電話連絡をしていたので、市役所11階の立派な特別室を用意して待っていてくれました。元行政職員の顔を効かせての温かい対応に感謝しています。
横山課長補佐も同席しての研修は、説明の後一問一答形式で2時間にも及びました。お二人ともさすが優秀なポジションにいるだけあって、学生のトンチンカンな広範囲な質問にもしっかりとお答え頂きました。その内容については詳しい報告書を作る計画ですので割愛します。
この研修は全て学生の出番を作っており、開会のあいさつは1班の班長、お礼のあいさつは2班の班長と言うふうにし、発言も全員が行いました。中には鋭い質問も出ていい行政学習が出来たように思います。
今回の研修を下支えしてくれたのはえひめ地域づくり研究会議の運営委員をしているNPO今治サポートセンター理事長の越智紀方さんで、私の頼みを快く引き受けてくれ、弁当の手配や彼自身が運転する無料バスの運行までしてくれる熱の入れようです。彼の勧めもあって午後の現地研修はミニFMバリバリを訪ねました。私も一度は訪ねたい場所だったので学生同様期待をしての訪問となりました。商店街の空き店舗2Fを利用した放送局はがっかりと驚きが同居するものでした。ガッカリは狭くお世辞にも美しいとはいえない部屋構えです。驚きは市民参加がしっかりと定着し防災での活躍や参加参画型の運営がなされていることでした。旧友の西川君や菊池さんも深く関わっていて、味のある局長さんの話に学生は目を白黒させていました。
でも内容がミュージックや若者話題などに及ぶと活発な意見が飛び交いミニFMは若者に大好評でした。
続いて少し離れたNPOサポートセンターへ出かけましたが、女性事務局長さんと越智理事長さんのNPOや運営の話を聞いて、これまた県下に例を見ない素晴らしい医活動にカルチャーショックを受けました。官主導から民主導へまちづくりは大きく変化をしつつあります。行政の金がない言い訳やおかしなこだわりに疑問を持ちながらこうして草の根の市民運動を支えている彼女や彼らに大きな拍手を送りたいと思いました。学生たちは夜間主なので7次限目の授業があるので、今治駅の前で記念写真を撮って3時の鈍行列車に乗って再び松山へ帰ってきました。心配された雨にも会わず事故もなくホッとしています。
来週は松前町です。白石町長さんの話も、合併しなかった町の喜びと苦悩も楽しみなテーマなのです。
「学生を 引率訪ねる まちやむら 知らないことを 丹念学習」
「学生に 生きた学びの 場を与え 大学教育 こうでなければ」
「感想は 尋ねた学生 ぱちくりと お目々広げて かなりの衝撃」
「無意識に 撮った写真に 写る街 まるで異国へ 旅した風景」