人間牧場

〇もめ事の仲裁
 私の近所に住む人から、もめ事の仲裁に入って欲しいと頼まれました。どうやらこの歳になると私が分別をわきまえている人間に見えるのでしょう。要点は奥さんをつい最近亡くし独居老人になった80歳の人の行く末でした。

 子どもが男・男・女・女と4人いて、いずれも町外に住んでいます。男親の面倒を見るほどの余裕と親に対する愛情もそれほど感じられず、親は「住み慣れた家で死にたい」と言うものの結局は誰が面倒を見るのかで意見が食い違い、特養施設に入って貰おうと4人の相談がまとまりました。

 その際実家と財産は、弁護士が中に入り法律に基づいて均分相続で決着したようですが、お墓と仏壇は誰も要らないというのです。弟や妹の意見は「お墓と仏壇を守るのは長男の役目」だと主張するものの、長男の嫁が大反対し始めめました。「財産も4等分ならお墓も仏壇位牌も4等分、私はあの山の上の寂しい、先祖の顔も知らない人たちが眠るお墓に入るくらいなら、夫と別れたい」と言う始末でした。

 金や財産は欲しいが親や位牌や墓は要らない」これが現代人の考え方のようで、愕然としました。私は誰から生まれてきたのでしょう。10代前に遡ると1024人もの先祖がいるのです。私は何処で育ったのでしょう。ふるさとに愛着はないのでしょうか。どうやら親の教育の仕方が間違っていたようです。

 結局は私の説得でお墓と位牌は長男が引き継ぐことで決着しましたが、長男の奥さんの言い分も分かるような気がするのです。大河ドラマ「どうする家康」ではありませんが、家の在り方が大きく変わろうとしています。

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