〇巷の話題
地元の漁師を転職してから35年間、職業が地元の役場勤めだったため、町内の話題はその日、晩くても2~3日のうちに自分の耳元へ届いていました。また取るに足らない噂話も月に1回出かける散髪屋や行きつけの呑み屋で疲労ことができていました。10年前現職を退職してからもまちづくりのお手伝いをしたり、道の駅へ時々顔を覗かせるものですから、昔ほどではないにしても大まかな話は耳元に届くし、妻が近くの歯科医院で働いていることもあって、お目出度お悔みの類もそれなりに知っているつもりです。
一昨日自宅の家庭菜園で収獲したナスを発泡スチロールの箱に入れて、シーサイド公園のじゃこ天の店で働く人たちに持って行ってあげました。おばちゃんたちは大層喜んで、お礼につみれをいただき世間話に話が弾みました。聞けば岡田さんという漁師さんが2~3日前ネットローラーに巻き込まれる大きな事故があったとのことでした。岡田さんは漁業後継者の時代から活発に活動をしているよく知った間柄ですが、一人で漁に出ていて事故に遭ったものの、僚船が異変に気付き助け出して松山の救急病院へ運び一命を取りとめたようです。命があっただけでも奇跡だと不幸中の幸いを話していました。
上灘漁協ではこれまでにも同じような事故に何人も遭い、尊い命をなくしているだけに心が傷み、私も元漁師ということもあって、決して他人事とは思えないのです。人は絶えず危険と隣り合わせで生きています。何の危険もなく安全という柵の中で生きているような私でも、一昨日は草刈り作業の最中に蜂に襲われ、顔が変形するほど腫れたりもしました。幸い大事には至りませんでしたが、あることない事のないことや根も葉もない噂話は別にして、これからも町の話題を、積極的に人の輪の中には入って、知る努力をしたいと思います。遠い情報はネットで瞬時に入ってきますが、得てして近い情報は遠いものだとしみじみ思いました。
「遠いこと 知ってはいるが 近いこと 意外と知らず これが世の中」
「漁船にて 漁師ローラーに 巻き込まれ 幸い命 落さずすんで」
「世の中は 傍に危険が いっぱいだ 他人事とは 思えぬ毎日」
「この歳に なると噂も 蚊帳の外 知らないことが 多過ぎますね」