〇鳥瞰と俯瞰
人間の考え方は色々ありますが、自分の位置や目の高さで判断することが多いようです。右にいると左に見えるし前にいると後ろに見えます。また人に出会ってその人の背や体重を判断する時も、高いとか太っていると思うのも自分を基準にしているようです。鳥瞰と俯瞰という言葉があります。「鳥瞰と俯瞰という漢字を読んだり書いたりしなさい」と言われても私のような凡人は読むことこそ何とかできますが、書くこととなると正直おぼつかない有様です。
辞書で調べると鳥瞰も俯瞰も「高いところから見下ろすこと」と大差はありませんが、鳥の目で見る鳥瞰が地理的意味なのに対し、俯瞰は状況などを含めたかなり広義な考え方で人間にぴったりするような気がしています。
俯瞰は将棋のようなもので、将棋盤の上で繰り広げられる相手との対決という時や場所を見ることと同時に、2手3手先という自分の考えと同時に相手の手の内や2手3手先を読まなければなりません。
世の中にはマクロとミクロの世界があります。マクロにもミクロにも俯瞰を働かさなければなりませんが、そんな奥の深い俯瞰力は直ぐに身につくものではありません。WAY(どうしてこんなことになったのか?)よりWHAT(何)を考えることも大事なポイントです。
今朝散歩をしていて緑のコケを見つけました。このところの長雨でそれは鮮やかな緑のコケが一面に広がっていました。立ちどまってコケを見ていると、いつもは何げなく通っている道の真ん中を、アリが一列になって行進していました。コケもアリも人間や自然から比べればミクロの世界でしょうが、ミクロの世界をマクロ的に見るとこれまた面白い光景で、しばらくの間立ちすくんでその光景に見とれていました。
そこを通りかかった近所のおじさんが、「進ちゃん、何を見ているの?」と怪訝そうな顔つきで話しかけてきました。「コケとアリの行進を見ている!!」と答えると、「あんたも暇じゃねえ」と首をかしげて先を急いで立ち去りました。多分その人の目にはコケもアリも眼中にないのです。私が変っているのか、その人が普通なのか、よく分りませんが、何かにつけこんな疑問を持つ人間も一人くらいはいてもいいような気がするのです。帰宅してデジカメをポケットに忍ばせてその場所へ戻り、パチリ一枚写真を撮りました。やはり私はあのおじさんが首をかしげたように暇で変っているのかも・・・。