〇香しいお茶の花と黄色いツワブキの花
いつの間にか金木犀やギンモクセイの強烈な香りもなくなり、身の回りから花々が姿を消しつつありますが、昨日畑の隅でお茶の木に、淡い黄色味を帯びたお茶の花を見つけました。気候温暖な瀬戸内海地方なので、わが家の周りには自然に生えたお茶の木が至る所にあって、この時期になると見逃してしまうような小さな花を、無数につけて咲いていました。お茶の木はギンモクセイやクチナシと同じように、香木なのですが低木ゆえ、また葉っぱを食用とするためそんなにきつい香りを出さないので、余り人にも気付かれず咲くようで、愛おしい感じがして思わず花に鼻を近づけて一人香りを楽しみました。
そういえばもうそろそろと思って辺りを見渡すと、ツワブキの葉っぱの影から花茎を持ち上げて、黄色い花が畑の隅のあちこちに咲き始めています。そういえばわが町はツワブキの自生地で、どここことなく野生のツワブキが生えています。春先にはツワブキの産毛の生えた新芽を引き抜いて、皮を剥き茹でてアクを抜き煮付けにすると、最高の山菜として味わうことができるのです。花は残念ながら食用にはなりませんが、ツワブキの黄色い花が野菊とともに咲く頃はみかんも色付き、北東の風が吹いて秋の深まりを存分に楽しませてくれるのです。
これまで私は忙しさにかまけて、季節の花などゆっくりと見る機会も、愛でる心のゆとりもありませんでした。勿論今も多少暇になったとはいえ相変わらず、忙しい日々を送っていますが、それでもこうして野の花に心が動くようになったのは、やはり寄る年波のせいでしょうか。畑の隅に咲いていた黄色いツワブキの花を一輪切ってきて、一輪挿しに差しダイニングの机の上に飾りました。殺風景だったダイニングが花のお陰で見違えるようになりました。私は花が大好きです。