人間牧場

〇息子たちの挑戦

 私の息子は建設設計関係の仕事をしています。勤め先が松山市内の設計事務所だし、毎日仕事が終っての帰宅は夜10時頃なので、同じ屋根の下に住みながら時には2~3日も顔を合わさない事だってあるし、今どんな仕事をしているのかさえも余り知る由もないのです。息子は何年か前から松本さんたちと、伊予市街のまちづくりに首を突っ込んでいるようで、時々周りの人から「親が親なら子も子だ」と言われるものの、活動のフィールドが違うため滅多にまちづくりの話もしないのです。

息子たちが試作した焼き栗
息子たちが試作した焼き栗

 最近息子がどこかから仕入れてきた中山産の栗を、朝夕を利用して焼いているのに気付きました。聞けば中山の友人と二人で中山栗の普及をするため、焼き栗作りに挑戦しているようでした。栗は普通茹でるか皮を剥いで栗ご飯にするのが一般的な食べ方ですが、天津甘栗のように焼いて食べる方法もあるのですが、栗を焼くとなると現代の暮らしでは中々取り組めないのです。息子たちは敢えてそのことに挑戦しているようでした。最初は生の栗を直接焼いていましたが、黒焦げになって大失敗を何度も繰り返した挙句、最後に行き着いたのは圧力釜で栗を茹で、仕上げを炭火で焼く方法のようでした。

 昨日は伊予市外で「百円市」という小さなイベントが計画されたようで、息子も朝早く起きて栗を圧力釜でかなりの量を茹で、七輪と竹炭を私の軽四トラックに積んで出かけたようです。朝松本さんがその様子をfacebookにアップして紹介していました。百円ショップだし栗が出回って珍しくもないこの時期なので、果たして売れるかどうか少し心配をしていましたが、何と何と完売し夕方意気揚々と引き上げて帰って来ました。百円なのでそれほどの売り上げではないと思われますが、試作から販売まで、これでもかと言うほど栗を試食したようで、「多分この近くでは栗を食べた量は僕が一番多いかも知れない」と笑って話していました。

 地域づくりはやっている自分たちが楽しむことが何よりも大切です。たとえ失敗しても挑戦する活動の中から、何か得られるものがあるものです。息子は中山の友人とクワガタやカブト虫の養殖にも挑戦し、クワガタランドなるものを作りたいと、今年の夏は子どもたちを集めて教室も開いたようです。建設設計の仕事とクワガタや栗は何の関係もないのですが、異業種の人と深く関わること、そのことが人生の勉強になることを思えば、もう少し温かく見守ってやりたい気がしています。松本さんがfacebookで「親の顔が見たい」と笑い話を書き込んでいましたが、いつの間にか息子は一番似たくない私に何処か似てきたようです。

  「焼き栗に 挑戦している 息子見て あきれ返って ものが言えない」

  「子が子なら 親も親だと 納得し やってる姿 傍で静観」

  「売れないと 思っていたが 完売し 意気揚々と 息子引き上げ」

  「親の顔 見たいものだと 書き込みが 嬉し恥ずかし 合わせる顔が」

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