〇人間牧場は梅の花が満開
「東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」は、ご存知学問の神様として知られる菅原道真の有名な歌です。「春になって東風が吹いたなら、その風に託して配所の大宰府へ香りを送ってくれ。主人のこの私がいないからといって咲く香りを忘れるな」という意味ですが、今年も人間牧場の梅畑の梅が綺麗に咲きました。この梅は花を観賞するために植えたものではなく、実を食用として採集するために植えているので、これまでは殆ど花を愛でることもなく人知れず咲き、人知れず散っていました。推し量るにこれまでの私には、花を楽しむ余裕がなかっただけのことなのです。
昨日私は人間牧場へ杉の木の枝打ち作業に出かけました。こちらでは東よりの風を「こち」とも言いますが、普通は「くだり」が吹くと言います。このところの気象は異変とでもいうのでしょうか、真冬のなのに西高東低ではなく北高南低の気圧配置で、等圧線が横縞型になって日本列島の南を南岸低気圧が次々と通り過ぎ、そのため東京や関東以北に思わぬ大雪を降らせているのです。このところ毎日のように天地を揺るがすような「大くだり」の風がふいています。「くだり」の風は北西の季節風より寒さが堪えるようで、菅原道真の心寂しい心境を慮るようでした。
枝打ち作業を終えて樹間から、今まで見えなかった直ぐ下の梅畑がよく見えるようになりました。見るとまあ綺麗な梅の花が咲いているではありませんか。更に目ではなく鼻を澄ませると、何ともいえない梅の花の甘い香りが漂っていました。春来ぬと目にはさやかに見えねども、梅の木も道端の雑草もちゃんと春の季節到来を知っているのです。こんな綺麗な梅の花をひとり占めするのは勿体ない話ですが、近々今月末にやって来る北海道オホーツク寒気団の船木さん一行にも自慢して見せてあげたいと思っています。
人間牧場の自慢の種がまた一つ増えた感じがしました。この花が3ヵ月後には青梅となるのですが、どちらかというと花より団子ならぬ花より梅の実だった了見の狭さをを少し反省をしながら、まだ蕾の梅の一枝を切り取って、自宅へ持ち帰り一輪挿しに挿して楽しみました。長い人生をあくせくと生きて来ましたが、どうやら私は日本人であることや自然豊かな田舎に住んでいること、季節を楽しむことをいつの間にか忘れていたようです。「そうだ私の目と心で生きていることを実感するような原風景を写真で再現してみよう」と思い始めました。安物のデジタルカメラゆえどこまで迫れるか分りませんが、とりあえずとっておきの100枚を目指そうと思っています。
「梅畑 いつの間にやら 春が来て 満開花を メジロ嬉しく」
「うわー綺麗 思わず梅の 花を見て 心で叫ぶ 心境変化」
「この寒さ ものともせずに 種蜂は 早ブンブンと 蜜を集めに」
「牧場の 界隈自慢 デジカメで 撮ってストック 100枚程度」