人間牧場

〇サツマイモの苗植え

 私が子どものころは、鋸の目立て屋さん、金魚屋さん、研ぎ屋さん、瀬戸物屋さんなどが客集めのため、町内を独特の言い回しで巡回し、客引きを行なっていました。「瓜売りが瓜売り売って瓜売り帰る瓜売りの声」とでも言うのでしょうか、この時期になると隣町の苗物屋さんのトラックが、車に取り付けたスピーカーで、「苗は要らんかな~」といかにも長閑な伊予弁を流しながら売り歩いています。その声を聞く度に「ああもうその季節か」と初夏の匂いを感じさせてくれ、すっかり風物となっているのです。
 昨日私は午後から畑に出て、麦藁帽子に長靴の出で立ちで家の横の家庭菜園内の、キウリやトマトなどの苗物を植えている畑の中耕をしました。苗物を植えてから10日ほどが経ちましたが、キウリもトマトも足元に小さな雑草の芽が伸び始めたので、雑草が小さいこの時期に中耕をすると、草取りが楽であることを考え、草削り鍬で万遍なく土を耕して行きました。昨日は雲ひとつない絶好の日和で、薄手の服一枚でも農作業をすると少し汗ばむほどでした。

 中耕が一息ついたころ、苗物屋さんの「苗は要らんかな~」の声に続いて、「サツマイモの苗もありますよ~」というスピーカーの声に反応し、財布を持って県道まで苗物屋さんの車を小走りに追いました。苗物屋さんはいつもの顔見知りのお兄さんなので、追いかける私の姿をバックミラーで察し、道端に車を止めて愛想よく車から降りてきました。
 「去年も兄ちゃんの苗を買ったが美味しかったので今年も50本下さい」と言うと、「今年の鳴門金時は
バイオ苗じゃきん」と、去年と同じ自慢をしながら、黒いビニール日陰の下から取り出してくれました。「千750円です」と言われ財布の中から2千円を出し、250円のつり銭を受け取りました。去年は確か1本五十円で2千500円を払ったような気がしていたため、1本35円は安いと思い、お礼を言いました。

黒いビニールマルチをかけたサツマイモ畑
黒いビニールマルチをかけたサツマイモ畑

 早速自宅に帰り立てていた畝に黒いビニールシートのマルチを被せ、二列等間隔にナイフで植える穴を開けて行きました。1列に18本2列を植え、残りの苗はもうひとつのマルチに2列植えましたが、まだ10本ほど苗が不足しています。ここには今月25日に人間牧場で行う芋ツル植えの残りの苗を植える予定です。毎年の事ながら人間牧場でも子どもたちがサツマイモを植えています。この2年イノシシの被害に遭い全滅しているのです。このサツマイモはその予備的に始めたもので、今年こそはこのサツマイモが必要でないよう祈っています。

 今年は掘り上げたサツマイモを冬越する方法も考えなくてはなりません。願わくば床の下に芋坪を掘って、昔ながらの保存方法を実践したいとも思っていますが、どこにその芋坪を掘るかは検討中で、サツマイモを掘り上げる秋までには実行に移せるようにしたいものです。

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