〇蜜蜂のシーズン明け
野山の新緑も日増しに濃くなって、春本番だというのにこのところは時ならぬ寒波が南下して、朝の最低気温が10度を下回る日が続いています。終いかけた薄手のダウンをもう一度引っ張り出して上に羽織らねば、風邪を引きそうな感じがして、少し恥ずかしい気もしますが冬支度を続けています。
この異常とも思える気温は芽が動き出した植物や、動き回り始めた動物にも影響が出て、お茶や煙草を栽培する農家の人は気が気ではないようです。かく言う私もほんの遊び程度ですが、家の横の家庭菜園に植えた苗物や、種を蒔いた野菜の芽出しが心配で、用もないのに畑に出て土の表面を観察する回数がいつになく多いようです。
私は人間牧場と裏山で蜜蜂を飼っています。もう5年になりますが、最初は一箱から始めた巣箱も一つ二つとその数を年々増やし、去年は8つとなりました。お陰様で昨年は巷の養蜂家たちは不作だったというのに、10升の大豊作で新記録を樹立したのです。
去年から冬越しをしている種蜂が人間牧場2箱、家の裏山に2箱あるので、今年こそはと意気込んでいますが、前述のようなこのところの天候不順で、気温に敏感な蜂たちももろに影響を受け、4月も下旬だというのに活発な動きには至らず少々心配をしているところです。
それでも遅まきながら分蜂の準備をしようと思い、蜜蜂のお師匠さんである野村町山奥組の井上登さんに電話を入れ、蜜蝋塗りとキンリョウヘンの協力を要請しました。2~3日前早速井上さんからメールが入り、22日の午前中に蜜蝋とキンリョウヘンを持参して、作業をする旨の連絡が入りました。昨日は前日の北東の風も治まり雲ひとつない好天に恵まれました。軽四トラックで待ち合わせ場所の人間牧場へ9時に到着し、約束の10時までツリーハウス周辺の先日刈り残した草を段取りよく刈り終ったところへ、井上さんは約束どおり来てくれました。早速空き部屋となっている四つの巣箱を集め、作業小屋の前の日当たりの良い場所で、二人で巣箱掃除と蜜蝋塗りをやり、それぞれの場所に設置しました。
去年から冬越しをした2つの巣箱の下板掃除をしながら観察をしましたが、昨年の晩秋に大風で下の道に転げ落ちた重箱型の巣箱は、心配を余所に営巣の状態は順調で、下に2つ重箱を継ぎ足しました。この時期のミツバチは気が荒く、被った防虫ネットめがけて何匹かの蜜蜂が攻撃を仕掛けてきましたが、刺されることもなく作業を終え、わが家まで戻って残り2つの空き家を同じように掃除し蜜蝋を塗ってキンリョウヘンを括り付けました。ところがその作業中にゴム手袋の入口から進入した一匹の蜜蜂が手の平にチクリ一刺ししてしまいました。慌てて手袋を脱ぎ棘を抜きましたが時既に遅く、少し痛みが走りました。家の庭に置いている鉢植えのアロエの葉っぱをちぎって塗りつけたお陰で、大して腫れることもなかったようで、まずは一安心の朝を迎えました。
今年は昨年より二つも巣箱が増えて10箱になりましたが、上手く分蜂入居してくれるでしょうか。連休にはしっかりと観察したいと思っています。それにしても私のためにはるばる遠い野村町から、指導や作業に毎年のようにキンリョウヘンと蜜蝋を持参して来てくれる、井上さんには感謝のしようがありません。5年目で五升の目標も、去年は倍の10升で早々と達成をしました。今年からは余り欲張らず愛情を込めて養蜂に精を出したいと思っています。そういいつつ、やはり私の闘争心に火がついて、今年もあわよくばとなんて気持ちが頭を持ち上げているようです。
「山緑 今年も養蜂 時期迎え 師匠の指導 仰いで準備」
「手袋の 裾から一匹 蜜蜂が 侵入チクリ 早くも一刺」
「天候の 不順は蜂にも 影響し 活動鈍く 先行き心配」
「蜜蝋と キンリョウヘンで 誘いこむ 作戦上手く 行って欲しいと」