〇木登り練習
私たちが子どものころは、誰に教えてもらうでもなくいつの間にか、木登りをして遊んでいました。それは多分海沿いの漁村で育ったものの、裏山に自生しているヤヤモモやアケビ、ビワ等の山の幸を、空腹を満たそうと取るため、自然に身についた生活の智恵だったように思うのです。当然こわごわ登った木枝が折れて土面に落下し、すりむいだり青あざができたりはしょっちゅうでしたが、病院に行くこともなくヨモギを揉んで貼り付けたり自然治癒力に助けられ、痕跡は今も残っているものの、いつの間にか治癒していました。
今の子どもはそんな遊びをしなくても、食べ物も遊び道具も身近に沢山あり過ぎるほどあって、戸外では遊ばないし、木登りは危険だと周りの人もきつく注意をしているのです。当然子どもたちは木登り未経験のまま成長するため、大人になっても木登りのできない人は意外と多いようで、木登り遊びの伝承さえできない社会となっているのです。「腕白でもいい。大きく育って欲しい」という言葉は、何十年も前に流行った丸大ハムのTVコマーシャルですが、私は木登りをするような子どもに育てようと思って、3人の男の子を育てたため、3人の子どもはみんな木登りができますが、4人の孫にも育爺として木登りを教えてやろうと思っています。
孫朋樹は今年小学5年生になりますが、人間牧場へ度々連れて行って木に登らせたため、木登りがすっかり得意となって、わが家の柱だって上手に登ることができるのです。昨日は五歳の孫尚樹を連れて人間牧場へ出かけました。草刈りの休憩時間を利用して登り易そうな枝ぶりの、柿の木に登らせようとしましたが、最初は怖がって中々上手くできませんでした。そのうち練習を積んでどうにか登れるようになりました。
私が再び草刈りを始めてしばらくすると孫は、樹齢100年を越える大きなヤマモモの木に挑戦し、登り始めたようでした。そのうち木の枝の上で「登れたぞ。ヤッホー」と大きな声で叫んでいました。いやはや子どもの順応性の早さには驚かされるばかりです。
今年も子どもたちが子ども体験塾で、人間牧場へやって来る予定ですが、木登りもメニューに入れたらどうだろうと思いました。私たちが子どものころは嫌でたまらなかった薪割だって、今の子どもたちには楽しいメニューの一つとなっているのですから分からないものです。
孫尚樹は「今度はもっと木登りが上手になって、あの木のてっ辺まで登りたい」と意欲を示していました。テレビのコマーシャルではありませんが、いつの時代も子どもたちには、「腕白でもいい。逞しく育って欲しい。」ものです。安全は何よりも優先しますが、安全な冒険をもっともっとさせてやりたいと思いました。
「木登りが できぬ親子が 増えている いつの間にやら 世の中変わった」
「木登りは 危ないからと 親が言う 危ないことは 何もさせない」
「教えると ほらこんなにも 上手くなる 得意になりて ヤッホーなどと」
「遊びとは 一体何か 考えよう 子ども風の子 もっと戸外で」