人間牧場

〇千本桜の森づくり事業の千本目の桜

 高齢化や農村地域の疲弊で、愛媛県内の山や畑が荒れていることに心を痛め、私たちにできることは何かと、私が代表を務める21世紀えひめニューフロンテアグループは、おこがましくも考え、荒れた山や畑に日本を代表する桜を植えてはどうかということになり、3年前「千本桜の森づくり事業」なるものを考え付きました。1地区100本の植樹を10ヶ所植えようという計画を綿密に立て、金もないのにやる気だけが先行し新聞で募集したところ、10ヶ所以上から希望がありました。早速大野事務局長が中心となり、現地に足を運んで現場を見たり代表の方と相談したりして、それぞれの地区に計画を立ててもらいました。そして金は後からついてきて、えひめ地域政策研究センターの助成、関奉仕財団の助成などをいただきながら私たちの手出しも加えて、植え始めたのです。

植樹のために集まった人たち
植樹のために集まった人たち

 3年前千本桜の1本目は、人間牧場へ標準木として枝垂桜を植えました。手身近な場所に標準木があると、どの程度育っているかおおよその目安がつくと思ったからです。人間牧場の桜はもし何かがあって標準木が枯れたら大変と、代役木も2本(一本は枝垂桜、もう1本は河津桜)植えていているので、多分大丈夫だと思うのです。南予や中予、東予と計画通り苗木を植えて行き、3年目の今年やっと目標どおり千本目の桜を植えることができたことは、何よりも嬉しいことです。
 千本目の桜を受け入れてくれたのは、今治市菊間町松尾地区でした。この地区へはかつて私が、まちづくりをしていた20年前から、菊間町役場に勤めていた渡部さんとひょんなことから知り合いとなり、講演に出かけてから度々訪れている地域で、知り人も沢山いるのです。

千本目の桜を植えた歌仙の滝
千本目の桜を植えた歌仙の滝公園

 松尾地区には歌仙の滝という公園があって、地元の人が管理をしていますが、その周辺に桜を植えて、かっての賑わいを取り戻そうと立ち上がっていた矢先で、愛媛新聞社に勤めていた渡部さんとも親しくなり、渡部さんが中心になって計画が進められました。
 昨日は前日から近づいた爆弾低気圧の影響で、海も山も大風が吹いて、冬に逆戻りしたようなあいにくの一日でしたが、私と大野さんが朝早く起きて出かけたところ、70人を超す多くの地元の人が集まり、植樹に参加してくれました。
 地元の代表者に続いて私もあいさつをさせられました。トラックの荷台に上がって、まるで選挙の演説のように、千本桜のいきさつや、これからのことをお話させてもらいました。

 桜は順調は育てば、10年もすれば桜の木の下で花見ができるほどに成長します。10年後にこの桜の木の下で花見の宴をやるのも一趣です。3年間で植えた千本の桜全てが枯れずに育つとは思いませんが、田舎の山や畑に桜の花が咲き競うのを、夢見て暮らすのもいいことだと思うのです。お互い長生きして10年後桜を見ようと誓い、松尾集会所で地元のおばちゃんたち手作りの豚汁とおにぎりをいただき、楽しいお喋り会をしてお暇しました。
 10年後私はどんなおじいさんになっているのでしょうか?。願わくば自分のこの目で千本桜を訪ねて見たいものだと思っています。

  「一本目 二本三本 数増やし あちらこちらに 桜沢山」

  「千本目 背丈の桜 植え終わる 三年間で 大願成就」

  「十年後 私はどんな 爺さんだろう 元気で桜 見たいと思う」

  「木は育つ 私は縮む 競争も できないままに 時は流れる」

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