〇注連飾り作り
「もう幾つ寝るとお正月・・・・・」と指折り数えて正月の来るのを待った少年の頃と違い、「もう幾つ寝るとまた一つ歳をとるのか・・・・・」と、「正月は冥土の旅の一里塚、目出度くもあり目出度くもなし」の初老を迎えています。それでも正月は年間を通じ私たちの暮らしの中では年初めの行事として主役を務める、大事な大事な節目なのです。
さて田舎に住んでいるわが家では、遅ればせながら正月を迎える準備が妻の手によって着々と進んでいます。その最たるものは何といっても大掃除と餅つきとおせち料理作り、それに注連飾り作りです。大掃除はさて置いて、最近は餅つき、おせち料理、注連飾りの三つを自分の家で作らず、売っているものを買って済ませる家庭が増えてきました。お餅もおせちも自宅で造るとなると手間で厄介なものです。特に餅つきとなるともち米や餅つき道具(蒸し器・臼・杵・もろぶた)などが必要なため、まず現代人の暮らしでは望むべきもないのです。それらの道具を持っているわが家でさえ、この10年ほどは生活改善グループに入って活動している妻の友人と一緒に、シーサイド公園の加工場へもち米を持ち込んで、妻が共同でついてもらっているのです。
昨日は天気は良かったものの今年一番の冷え込みで、車のフロントガラスの前面が凍るほどの寒さでしたが、妻は少し風邪気味ながらもち米を30キロ近くも冷水で洗い、ポリバケツにかしていました。私も妻から頼まれていたもろぶたを水で洗い、外の東屋へ陰干ししたり、玄米もち米を農協のコイン精米所で白米にしたりと、それなりの手助けをしました。
昨日の私の大仕事は注連縄作りでした。親父が前日にそぐってくれていた稲藁を煙会所へ持ち込み、ストーブで暖を取りながら一人黙々作りました。私は子どものころ親父から注連縄の作り方を教えてもらっているので、わが家がこの地に引っ越して来た30歳の頃からずっと、下手糞ながらもう40年近くも作り続けているのです。私が作る注連縄は4種類です。オタマジャクシと呼ぶ小さな注連縄飾りは仏様や水神様、倉庫や車などに備えるため15個作ります。オタマジャクシで縄ないの感を取り戻すと、隠居玄関用の少し大きめなオタマジャクシを作り、本宅玄関用の暖簾型注連縄、それに神様棚用のエビを作るのです。
注連縄を作りながら、はてさてこの技術は次の世代にどう伝えればいいのか、心配になりました。男の子3人が小さい頃は遊び半分で一緒に作っていましたが、技を伝授するまでには至らず、子どもが成人してからは子どもたちも忙しく、それどころではないようで、息子と同居をし始めたこの機会に伝授しようと思っていますが、残念ながら私一代で終りそうな雲行きです。
注連縄作り作業は約2時間ほどで終りました。今年も私の労作はもろぶたに納めて煙会所に借り置きしています。一夜飾りにならぬよう30日には裏山に取りに行くウラジロや青竹、カブスなどを使って正月飾りをしたいと思っていますが、私の大仕事と思っていた注連縄作りも無事終ってほっと一息つきました。
今日はウラジロを取りに行こうと思っていましたが、早くも朝からあいにくの雨のようで、明日に延期となりました。正月まで今日を含めて後4日です。子どものころのように指折り数えはしませんが、今年の余韻を楽しみながら大掃除をして正月を待ちたいと思います。
「わが家では 注連縄飾り 今もなお 私手作り 縁起担いで」
「注連縄を 作る技術も 息子には 伝授すべなし 私一代」
「隣住む おじさん今は 注連縄を ホームセンター 買ってそれでも」
「注連縄を 自分で作る 故なのか 今年も縁起 悪くなかった」