〇妻と二人でデート
私は子どものころ初めて飲んだコーヒが苦くて不味かったため、それ以来コーヒーを飲みません。「今時コーヒーが飲めないなんて信じられない」「コーヒーはガンに効くというのに?」などと妻からも不思議がられていますが、それでも訳も分からず嫌いなものは嫌いで、根っからの緑茶党を名乗っているのです。
先日講演先の北海道で知り合った北見市に住む市川恵子さんから、幾種類もの沢山のハーブティが送られてきましたが、最近は妻に頼んでホームセンターで買ってきてもらった耐熱ガラスのお洒落な茶器で、ストーブの上に置いた加湿用のステンレスヤカンのお湯を注ぎ、いただいたハーブティから好みのものを取り出し、気晴らし気休めのティータイムを一人楽しんでいますが、時には紅茶も楽しむものの、相変わらずコーヒーはそのメニューに入っていないのです。
昨日の夜、急な思いつきで、シーサイド公園イベントホールで開かれているロマンチッククリスマスカフェへ、妻を誘って出かけました。ブライダル業界で仕事をしている戸田さんがクリスマスの二日間だけ臨時に開いているカフェですが、私たちが訪ねた午後7時過ぎには既に若いカップルで満席状態でした。水屋の近くに陣取り、クリスマスツリーや窓に映るイルミネーションの幻想に酔い知れながら、妻はコーヒー、私は紅茶を飲みました。
もう15年も前にこの総ガラス張りのイベントホール、大きな箱に見立ててリボンをつけたり、山から桧の木を切り出してツリーを飾ったりした時のことを思い出しました。今でこそクリスマスツリーも広く普及していますが、当時は珍しさもあって話題となり大勢の若いカップルが訪れたものでした。
私がコーヒーを飲まないため、妻と二人で喫茶店に入った記憶は殆どありません。故に妻にとってはそのことが少々不満らしく、クリスマスカフェに誘うと一も二もなく喜んでくれました。20分ばかり雑談した後外に出ましたが、通路には様々な電飾が施され、道行くカップルも手を組んだりつないだりしていました。妻がいきなり腕を組もうと言い出しました。私は暗闇とは言いながら地元の目もあるし、「恥ずかしいので嫌だ」と言いましたが、妻はかまわず腕を組み駐車場までの200m程の道を歩きました。私は古い時代の人間なので、男女が手をつないだり組んだりすることにはかなりの抵抗があり、躊躇しましたが、妻もこの歳になると大胆だと、年甲斐もなく少しときめきました。
「若松の進ちゃん夫婦が昨日の夜、シーサイド公園で手を組んで歩きよった」と、噂話が立ちそうな田舎の、犬も食わないクリスマスイブの出来事でした。
「クリスマス イブは二人で 過ごすもの あやかりカフェで 雑談語る」
「お父さん 手を組み歩こう いきなりと 顔を赤らめ 悪い気はせぬ」
「コーヒーも 飲めぬ私は デートなど できぬと諦め 今の今まで」
「クリスマス ツリー点滅 する光 ガラスに映り まるで幻想」